2013 Fiscal Year Research-status Report
媒体注入下の肺スリガラス結節に対するラジオ波焼灼療法の基礎的・臨床的研究
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24791326
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
三浦 寛司 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 学外講師 (20607593)
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Keywords | 肺ラジオ波焼灼療法 |
Research Abstract |
前年度に肺小結節に対する肺部分切除術前のリピオドールマーキングの検討で、気胸の頻度が61%と高かったため、リスクファクターについて検討した。解析の結果、結節と胸膜との距離が長い事、一回のセッションで複数回マーキングを行う事、PaO2濃度が高いことがリスクファクターとして考えられた。 上記のリピオドールマーキングの手法を用いて、媒体注入下でのラジオ波焼灼(RFA)の実験を行った。正常豚肺(6頭、12肺)に、生理食塩水、リピオドール、ヒアルロン酸をそれぞれ注入してラジオ波焼灼を行い、コントロール群との焼灼条件と焼灼範囲の変化や、媒体の周囲への拡散の有無について検討した(各群6箇所ずつ焼灼)。結果は、焼灼条件には有意差は認めなかった。平均焼灼範囲は、コントロール群784±512mm3、リピオドール群1347±1255mm3、生食群1597±1332mm3、ヒアルロン酸群2415±2644mm3であり、有意差はないもののヒアルロン酸注入群で最も焼灼範囲が大きかった。周囲への拡散の程度はヒアルロン酸が最も少なかった。 また、RFA中にmicrobubbleが発生する事が知られているが、microbubbleの発生が媒体注入によりどのように変化するかを検討した。豚肺RFA中に頸動脈をエコーで観察したところ、microbubbleはコントロール群1箇所、生理食塩水群2箇所の焼灼中に観察されたが、ヒアルロン酸群では観察されなかった。リピオドール群では、注入時に肺静脈に迷入したリピオドールがエコーで観察されたために、評価が困難であった。 以上の結果より、さらなる検討が必要なものの、ヒアルロン酸が最適な媒体である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書の通り、動物実験を行い、データ解析をおこない、概ね研究目標は達成できた。動物実験の結果、焼灼範囲を拡大し、かつ周囲への拡散が少ない傾向があった媒体はヒアルロン酸であったが、焼灼範囲の拡大には統計学的な有意差はでなかった。一つの要因としては注入方法に問題があると思われ、今後の検討が必要である。 また、リピオドール注入時に頸動脈で迷入したリピオドールと思われる高エコーが観察されたため、全身への媒体の移行の可能性が示唆された。特に肺静脈に迷入しやすい媒体については注意が必要である。そのため、媒体の全身への移行についても詳細に評価する必要があると思われた。
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Strategy for Future Research Activity |
リピオドール群では注入したリピオドールの全身への移行がみられたため、リピオドールの全身への移行についての詳細な検討をする予定である。具体的には、肺部分切除前のリピオドールマーキングにおいて、手技中にリアルタイムにエコーで観察し、またリピオドール注入中のCT透視画像を保存し、リピオドールの分布について詳細に検証する。 注入方法の改善については、in vitroで豚肺に媒体を注入して、媒体の経時的な拡散について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度までに予定していた実験を行ったが、再検証が必要な項目が発生した。具体的には、媒体注入時に血管への移行が見られたため、大循環への影響を詳細に検証する必要がある。また、RFA施行時に生じるmicrobubbleの影響についても検討する。 この検証を加える事により、最適な媒体を決定することができるため、期間を延長する必要がある。また、これらの結果をまとめて、学会発表と論文作成を行う。 媒体注入下での肺ラジオ波凝固療法中に、媒体やmicrobubbleが大循環に移行するかどうかを検討する。当院で行われているリピオドールマーキングやRFA時に、ドップラーエコーで観察する予定である。穿刺針や媒体に加えて、詳細に観察するための液晶モニターや保存機器が必要である。 また、学会発表を行うための旅費や論文作成のための諸費用(ソフト、書籍や校正)に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)