2012 Fiscal Year Research-status Report
腎毒性を軽減する安全で効果的ながん治療用ラジオアイソトープ標識ペプチドの開発
Project/Area Number |
24791329
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
大島 伸宏 北海道医療大学, 薬学部, 助教 (80508648)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | がん / 放射性医薬品 / オクトレオチド / 負電荷導入 / 薬物動態制御 / 腎臓 / アイソトープ内用療法 |
Research Abstract |
ラジオアイソトープ (RI) で標識した抗体やペプチドを用いる「がんのアイソトープ治療」が注目され、盛んに研究が行われている。RI 標識ペプチドは、RI 標識抗体と比較して合成が容易であり、血中からの消失が速やかであることから治療薬剤としての可能性が検討されている。しかし、RI 標識ペプチドを用いるがんのアイソトープ治療では、腎臓への高い放射能集積を原因とする腎毒性が臨床応用への大きな障害となっている。 申請者らは RI 標識オクトレオチドへ酸性アミノ酸を用いて負電荷を導入することで、この非特異的腎集積を低減できる可能性を示してきた。そこで本研究では、がん組織への集積を維持し、非特異的な腎集積を低減する、臨床使用可能な安全で効果的ながん治療用 RI 標識オクトレオチド誘導体の開発を計画し、研究に着手した。 がん細胞表面の標的受容体への RI 標識オクトレオチドの結合を妨げず、親和性を維持する最適な負電荷導入法を系統的に見出すため、負電荷導入法が異なる DTPA-オクトレオチド誘導体および活性評価の際に標準化合物となる DTPA-オクトレオチドを標識前駆体として固相法で合成した。得られた前駆体をインジウム-111 (111In) で標識し、目的とする各種の負電荷導入 111In-DTPA-オクトレオチド誘導体を得た。 得られた 111In-DTPA-オクトレオチド誘導体を培養がん細胞とインキュベートしたところ、細胞への放射能の取り込みが観察され、がん細胞への集積性を損なわず、負電荷が導入された 111In-DTPA-オクトレオチド誘導体を見出すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標的受容体との結合を妨げず、親和性を維持する最適な負電荷導入法を系統的に見出すため、負電荷の導入方法・部位の異なる111In-DTPA-オクトレオチド誘導体を合成した。得られた 111In-DTPA-オクトレオチド誘導体の in vitro 腫瘍集積性を評価するため、培養がん細胞を用いて細胞内取り込み実験を実施した。その結果、細胞へ放射能の取り込みが観察され、がん細胞への集積性を損なわず、負電荷が導入された 111In-DTPA-オクトレオチド誘導体を見出すことに成功した。以上のことから、平成 24 年度の研究計画を概ね達成したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成 24 年度の研究で見出した、負電荷導入111In-DTPA-オクトレオチド誘導体について、正常マウスを用いて体内動態を評価する。正常マウスで腎集積の低減が観察された化合物について、担がんマウスを用いて体内動態を観察し、がん組織への集積性を評価する。 腎集積の低減およびがん組織への集積を認めた化合物の情報に基づき、欧米でアイソトープ治療に用いられているイットリウム-90 (90Y)と安定な錯体を形成するキレーターを有するオクトレオチド誘導体を合成し、同様に評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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