2012 Fiscal Year Research-status Report
低線量率照射による二本鎖切断残存および誤修復を利用した放射線感受性予測法の開発
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24791338
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 智樹 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80594598)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 低線量照射 / 放射線感受性 |
Research Abstract |
がん細胞および正常組織細胞の放射線感受性を治療前に予測するpredictive assayを低線量率照射による染色体損傷解析を用いて解析する方法から確立することを目的とする。高線量率を使用したpredictive assay はこれまで十分な成果が得られていない。低線量率照射で生じるDNA2本鎖切断は、蓄積される傾向があり、細胞によりその認知が異なることが予測され、predictive assayに役立つことが期待される。本年度は高線量率(2 Gy/min)のX線を正常線維芽細胞に照射し、高線量率照射による初期損傷を未熟染色体凝集法を用いて解析した。今年度、使用した正常細胞は、正常人の線維芽細胞とAtaxia Telangiectasia由来の線維芽細胞である。後者の細胞は特に放射線感受性が高いことが知られており、高線量率照射での初期損傷が正常人の線維芽細胞とどのように違うかを解析した。ギムザ染色によるG0/G1期染色体損傷は正常人の線維芽細胞もAT由来の細胞でも差異が見られなかった。一方、蛍光染色法を用いたFISH(fluorescence in situ hybridization)法での誤修復を解析したところ。AT細胞では正常人の細胞と比較して著しい誤修復が見られ、高線量率での高感受性の原因と考えられた。低線量率の感受性を検討するためには、高線量率との比較が不可欠であり、来年度の研究につなげたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低線量率照射による放射線感受性測定のために、本年度は高線量率の実験を行った。高線量率での実験は、低線量率での修復と比較するために必要な情報と考えており、おおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
低線量率の実験は放射線医学総合研究所の低線量照射装置を用いて行う予定である。 低線量照射後には静止期と細胞周期を進行させた状態で染色体解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
20万円ほどを人件費に計上する予定である。染色体解析に使用するFISH(fluorescence in situ hybridization)法のプローブは高価であり、プローブを中心に試薬を購入する。学会発表も検討する。 未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。
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