2012 Fiscal Year Research-status Report
MRIの新たな拡散解析法QSI/DKIを用いた初期脳梗塞の経時的変化の解析
Project/Area Number |
24791339
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
齋藤 史根 順天堂大学, 医学部, 助手 (70621738)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 脳梗塞 / QSI/DKI |
Research Abstract |
症例収集は順天堂医院では難しかったため、順天堂大学医学部附属浦安病院で行った。発症後3時間から29日の脳梗塞患者27症例を収集できた。梗塞部位は、両側大脳白質や脳皮質、小脳、脳幹、基底核と多様であった。これらの症例のうち、再灌流によって梗塞巣が回復した症例はなかった。 MR装置は東芝社製1.5T MRIを用いた。MPGは6軸で、スライス厚5mmとし、b値は0,1000,(1500),2000sec/mm2でDKIを含む拡散画像のセットを撮像した。解析について、ソフトはdTVII/FZRを用い、解析法については福永一星氏に指導を受けて行った。具体的な解析については、梗塞巣と見なされる部位に関心領域を置き以下に挙げるパラメータを計算した。なお、梗塞巣と反対側の正常な脳実質にも関心領域を置ける場合には置き、比較対照とした。Diffusional kurtosis imaging(DKI)のパラメータである、mean diffusional kurtosis(MDK)の他、従来の拡散画像であるdiffusion tensor imaging(DTI)の各パラメータを算出し、脳梗塞発症後の時間経過でどのように各値が推移していくかを調べた。画像の撮像・解析や結果の解釈については主に青木茂樹教授、堀正明准教授から意見を頂いた。 先行研究では、右前頭葉深部白質の梗塞巣のみの検討であったが、今回はそれ以外の部位の梗塞巣においても検討できたことは本研究において重要な点である。また、様々な発症後経過時間の症例を収集できたことで、梗塞巣における各パラメータの経時的変化を検討でき、病理学的変化についてある程度の考察ができたことも大変重要な点であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究目的」の「研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか」に記載したものについて述べる。①について、今回健常人の対照症例は収集せず、梗塞巣の反対側の正常脳実質について検討することとした。このようにしても研究上、特に問題はなかった。この点については達成できたと考える。②今回、様々な部位の梗塞巣について検討できたので、右前頭葉深部白質以外での梗塞巣の検討については達成できたと言える。③今回、発症後3時間~29日の脳梗塞症例を収集できたので、各パラメータの推移をある程度調べることができた。主に、DKIのパラメータであるMDKと、DTIのパラメータであるADC,λ1、λ2、λ3について推移を調べた。これらのパラメータを用いれば考察は可能であった。病理学的考察は複数の関連論文を参照して行なうことができた。この点もある程度達成できたと考える。④予後予測については、検討することはできなかった。収集したすべての症例で梗塞巣が回復した症例はなかったことと、梗塞部位や梗塞巣の大きさが多種多様であり、それらをすべてまとめて予後予測を行うことは難しいと判断したためである。もしも、各梗塞部位ごとにさらに症例を増やすことができれば検討は可能かもしれない。
|
Strategy for Future Research Activity |
さらに症例収集を行なう予定である。具体的には、梗塞巣が再灌流によって回復した症例や、大脳白質、皮質、小脳、脳幹、基底核など各梗塞部位別や梗塞巣の大きさ別の症例数をそれぞれ増やすことができれば良いと考える。そうすれば、予後予測の検討ができる可能性がある。 解析方法はこれまでと同様に行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究に対する謝金や人件費、学会発表のための学会参加費や旅費、論文作成のための費用などに使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)