2013 Fiscal Year Research-status Report
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24791341
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
茂木 厚 独立行政法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (10433997)
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Keywords | がん幹細胞マーカー / 中咽頭癌 / HPV / 放射線感受性 |
Research Abstract |
がん幹細胞マーカーの発現と放射線治療感受性について、引き続き検討を行っている。頭頚部扁平上皮癌のうち、中咽頭癌におけるがん幹細胞マーカーCD44発現の免疫組織学的検討を行った。中咽頭癌はHuman papilloma virus (HPV)感染を伴う場合、放射線治療や化学療法に良好な反応を示すとされており、HPV感染とがん幹細胞マーカー発現が逆の相関を示すことが予想された。 当院で放射線治療(強度変調放射線治療)を施行した中咽頭癌39例を対象に、生検あるいは手術材料のホルマリン固定パラフィン包埋標本で、CD44ならびにHPV感染マーカーp16の免疫組織学的検討を行った。CD44の陽性率は74%、p16の陽性率は44%に認められた。両者の蛋白発現に関する相関について検討すると、CD44+/p16+は18%、CD44+/p16-は56%、CD44-/p16+は26%に認められた。CD44-/p16-の症例は認められなかった(Fisher's exact検定では相関に有意差あり)。治療成績に関しては、p16発現の有無は局所制御率に相関していたが、CD44発現症例は有意差は認められなかったが、局所制御率不良の傾向が見られた。また、CD44陰性例には2年間局所再発は認められなかった。今後、細胞増殖因子や細胞分裂能マーカーなどの発現をあわせて検討する予定である。がん幹細胞マーカーが頭頚部扁平上皮癌における治療成績予測因子になりうるかどうかについても検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床検体を用いた研究を行うため、研究期間中に院内の倫理委員会への申請を行った。また、病理組織検体を対象とした研究であるため、標本の取り寄せを行っていたが、予想以上の時間がかかったため、十分な症例で検討が可能となるまでの期間が必要であった。当院で治療を行った症例を遡及的に解析した結果、がん幹細胞マーカーとHPV発現に逆相関の傾向があり、また治療成績にも一部相関を示す傾向も認められ、がん幹細胞マーカー発現と放射線治療感受性の関連性について有意義な結果が得られたと考えている。研究発表会での報告を既に複数回行うことが出来、また平成26年度の頭頚部癌学会に研究成果の発表を予定しており、今後は症例数を増やし論文かを進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
頭頚部扁平上皮癌におけるがん幹細胞マーカーの発現検討に加え、上皮由来増殖因子や細胞分裂能マーカーの発現についてもあわせて検討する予定である。がん幹細胞マーカーが従来の細胞分裂能や形態上の未分化度などの放射線治療感受性予測因子に新たに加わる可能性があると考えている。また、研究結果によっては対象疾患を広げ、臨床検体のみならず培養細胞を用いた研究を行うことも予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
無駄のない研究の遂行のため、実験結果を逐次確認した後に、試薬や一次抗体の購入計画を立てていた。しかし、検体の取り寄せならびに実験結果の評価に関し、想定外に時間がかかり、研究の進捗状況に若干の遅滞を生じた。そのため、一連の物品の購入をあらかじめ設定することが困難な状況となった。 実験結果の確認を行い、消耗品として逐次試薬や一次抗体の購入を行う予定としている。また、研究成果の発表も次年度中にあわせて行う予定であり、旅費を計上している。
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