2012 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮カドヘリンを介したタイトジャンクション制御の経動脈的治療への応用
Project/Area Number |
24791344
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
米虫 敦 関西医科大学, 医学部, 助教 (80360254)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インターベンショナルラジオロジー(IVR) / ドラッグデリバリーシステム(DDS) / トロンビン / 血管内治療 / 低侵襲治療 |
Research Abstract |
本実験の初期成績について第71回日本医学放射線学会にて発表を行ない『第71回日本医学放射線学会Cypos賞Bronze Medal』を受賞した。本発表は、American Roentegn Ray Society Annual Meeting 2013にも招聘され、ポスター発表を行った。 【目的】少量のトロンビンが血管内皮細胞のカドヘリンに作用し、血管透過性を亢進させることが注目されている。本研究では少量のトロンビンを併用した動注化学療法における薬剤の血中移行性および組織移行性を評価した。 【方法】10羽の日本白色家兎(3kg)の右大腿部にVX2腫瘍を移植した。VX2腫瘍移植の2週間後に腫瘍は約3cm径に発育した。トロンビン群:5羽に対して、マイクロカテーテルを用いて右大腿動脈より、イオパミドール0.3ml,リピオドール0.3ml,シスプラチン 3mg,トロンビン300単位の混合液を緩徐に注入した。対照群:5羽には、イオパミドール0.3ml,リピオドール0.3ml,シスプラチン 3mgの混合液を注入した。薬剤注入5分後および10分後に採血を行い、血漿中白金濃度を測定した。薬剤注入30分後にVX2腫瘍を摘出し、組織内白金濃度を測定した。 【結果】トロンビン群および対照群において、血漿中白金濃度は、5分後が0.59±0.28μg/mlと2.7±1.2μg/ml、10分後が0.70±0.078μg/mlと2.2±0.58μg/mlだった。薬剤注入30分後の組織内白金濃度は、4.1±1.8μg/wet・g、1.0±1.2μg/wet・gだった。 【結語】少量トロンビンの混和により、動注化学療法における薬剤の組織停滞性、組織移行性が向上した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学本部の移転に伴い、動物実験センターの移転が行われた。このため動物実験の進捗が当初の予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
大学本部の移転により、動物センターが移転し新たな設備での実験が可能となる。 本年は、家兎を全身麻酔下に、エコーガイドにて肝臓の辺縁にVX2腫瘍細胞浮遊液を注入する。注入された腫瘍細胞は7~10日で直径2cm前後の孤立性腫瘍に発育し、家兎肝腫瘍モデルが作成される。 家兎肝腫瘍モデルの右大腿動脈より4F コブラ型カテーテルを挿入する。4F コブラ型カテーテル内腔に2.0F マイクロカテーテルを挿入し、固有肝動脈に2.0F マイクロカテーテル先端を留置する。マイクロカテーテルよりトロンビン・シスプラチン混合液を注入し、肝動脈塞栓術を施行する。肝動脈塞栓術後、腹腔動脈造影によるフォローアップを行い、塞栓効果を確認する。 術直後、3 日目に家兎を屠殺し組織を摘出し、組織学的な急性期合併症の有無を検索する。また、組織内白金濃度を測定することによって、血管透過性亢進作用による組織内へのシスプラチン移行を評価する。血中白金濃度を経時的に計測し、抗腫瘍剤の凝血塊からの徐放効果を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物センターの移転に伴う新たな環境下での家兎実験の再開に向けて、動物実験を行っていく。 また、当該研究分野における最新の研究動向に注視し、昨年度に取りまとめた初期成績について学術雑誌へ投稿を行う予定である。
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[Presentation] Intra-arterial infusion of thrombin: animal experiments2013
Author(s)
Atsushi Komemushi, Noboru Tanigawa, Shuji Kariya, Miyuki Nakatani, Rie Yoshida, Satoshi Suzuki, Koshi Ikeda, Keita Utsunomiya, Shohei Kanno, Yoko Harima, Satoshi Sawada, Michoto Inoue, Kazuhisa Oyamada, Kamiyoshi Tsuyoshi, Tsuyoshi Miyake, Ryo Sato
Organizer
American Roentegn Ray Society Annual Meeting 2013
Place of Presentation
Washington, D.C., U.S.A.
Year and Date
20130414-20130419
Invited
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