2013 Fiscal Year Research-status Report
肝の造影多時相CT検査における医療被ばく線量と造影剤量の最適化
Project/Area Number |
24791346
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
兵頭 朋子 近畿大学, 医学部, 助教 (40403836)
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Keywords | CT / 低侵襲 / dual-energy CT / 逐次近似法 / 肝腫瘍 / 画像診断 / ヨード造影剤 / デュアルエナジーCT |
Research Abstract |
平成24年度に科学研究費補助金を用いて画像評価用の楕円形断面円筒ファントムを作製し、これを用いてCTの撮像条件を決定した。その後、当施設のCT装置のバージョンアップが行われ、同装置に具備されているdual-energy CT撮像モードでの被ばく低減措置が変更された。具体的に、管電流自動変調機構によって、患者の体格を元に、被ばく線量をより細やかに適正化することが可能となった。また、逐次近似を応用した再構成も適用可能となったため、従来の多色X線CTイメージングと同じ原理で、低エネルギー表示での仮想単色X線画像に逐次近似を応用した再構成を組み合わせ、造影剤使用量を低減しうると期待される。当施設では慢性肝疾患患者の肝脂肪・線維化の組織推定や血流の定量解析にdual-energy CT撮像を用いる場合が増加していることから、改めてファントム実験を行い、再構成条件および造影剤低減プロトコールを再構築する必要があると思われた。平成25年度は、前述のファントム実験をdual-energy撮像モードで行い、ヨード濃度とCT値およびコントラストノイズ比の関係を解析することで、多時相肝CT検査プロトコールを決定した。具体的には、プロトコールA:標準的条件(600 mgI/kg、70keV [従来の多色X線CTイメージングにおける管電圧120kVpに相当], 逐次近似再構成 30%)およびこれと比較する低エネルギー条件としてプロトコールB:低エネルギーの画像再構成 (420 mgI/kg, 60keV ASiR 30%)、プロトコールC:低エネルギーの画像再構成かつ逐次近似による画像ノイズ低減(420 mgI/kg、 60keV, ASiR 50%)である。造影剤はいずれも注入時間一定法で投与する。平成25年度後半より、これらの条件を臨床症例に適用した画像データ集積を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当施設のCT装置の被ばく低減措置を含む仕様変更があったためと、肝機能評価に使用する撮像モードがdual-energy CT撮像にシフトしたため、多時相肝CT検査プロトコールを改めて検討する必要が生じた。このため、初年度に科学研究費補助金を用いて作製したファントムを用いて再び実験・解析を行った。この再実験により、当初の計画よりも進捗はやや遅延したが、その後は順調に進行しており、臨床症例における予備研究として症例集積を行っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に再度行ったファントム実験で決定した、dual-energy撮像モードにおける造影剤使用量低減プロトコール(先述のプロトコールC)を適用した症例は平成26年4月10日現在、20例である。今年度はこれらの画質評価を行い、従来の標準的撮像条件(プロトコールA)20例の検査の画質と比較する。さらに検証に必要なサンプルサイズを統計学的に算出し、症例集積を進める。肝細胞癌などの病変の診断能、肝の組織推定を含むdual-energy CTの特殊機能、撮像条件、被ばく線量についても検証を行い、必要に応じてプロトコールの見直しを行う。現時点で決定しているプロトコールCは、被ばく線量を個々の患者に合わせて最適化しながら、低エネルギー表示と逐次近似再構成を組み合わせることで、ヨード造影剤を従来法に比べて30%(前年度決定したプロトコールでは20%)減量する手法であり、本研究によってその妥当性が確認されれば、より低侵襲な肝多時相CT検査法の確立に寄与すると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗が当初の計画よりもやや遅延しており、平成25年度は解析にかかる人件費や解析ソフト等の購入が不要であったため。また、当施設のCT検査室で研究データ解析に使用していたパソコンのオペレーティングシステムWindows XPのメーカによるサポートが平成26年4月9日に終了することとなっていたため、平成25年度中に最新のオペレーティングシステムを搭載したパソコン本体を購入した。このパソコンを当初予定していた200千円より低価格(約107千円)で購入できたため、余剰金を次年度に繰り越す。 消耗品費として解析データ保存媒体(100千円)、解析用パソコンソフトウェア(100千円)、国内または海外旅費として研究成果発表(100千円),人件費としてデータ解析収集2人×5日(100千円)その他英文校正費などの研究成果投稿準備(100千円)にそれぞれ使用する予定である。
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