2012 Fiscal Year Research-status Report
温熱および冷庵療法が咀嚼筋に与える効果の画像的評価
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24791348
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
筑井 朋子 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (80580472)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 咬筋 / 拡散係数 / IVIM / 温熱刺激 / ADC / 咬みしめ |
Research Abstract |
第一に21℃のMRI 室にボランティア(7名)を安静にさせ、ガム咀嚼(5分)をさせた。ガム咀嚼前、咀嚼直後、4分後、8分後、12分後で、MRIを撮像し、おもに拡散情報についての解析を行った。b factorは、0, 10, 20,40,80, 120,200,300,500,700, 900の11を設定した。ADC mapは、灌流をおもに反映するb factor 200以下 (ADC b<200)と拡散を主に反映する200以上 (ADC b>200) にわけて、2種類作成した。ADC b<200は、咀嚼直後から高い値となり、4分後~8分後で、最大になり、その後も、12分後まで比較的高い値となった。一方、ADC b>200の変化は、ADC b<200に比較し、小さく、やや早い時間で、咀嚼前の値に近づいた。この事より、血流変化は、咀嚼後比較的長い時間にわたって持続する事が示唆された。 次に咬筋部に温度刺激を行い、変化をMRで観察した。二つの手法、ポンプ法(温水を循環させ、チューブを接触させる。)、容器接触法(プラスチック容器に温水をいれ、接触させる。)温度を保てるため、ポンプ法がよいと予想されたが、接触面積が小さく、温度を感じにくいため、H24年度はおもに容器接触法をおこなった(5名)。容器の中の温度は、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃である。温度45℃では、咬筋のADCは、増大したが、体温以下の25℃~35℃では、増大傾向はなかった。なお、容器内の温水のADCは、温度変化を反映し、温度の上昇とともに増大したが、接触面付近の皮下脂肪などはそのような傾向なく、単なる温度変化を反映しているは考えにくく、やはり、血流量などの生理学的な変化を反映しているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度は、MRIの拡散強調画像の画質向上のための撮像法の確立ができた。また、複数の b factor設定による見かけの拡散係数(ADC)を算出するアプリケーションの準備をおこない、DICOM dataをもとに、PC上でADC mapを作成する事が可能となった。 健常者によるボランティア実験で、ガム咬みしめによるADCへの影響を検討した。次に安静状態で、温熱刺激(25℃~45°C)により咬筋のADCがどのように変化するかの基礎実験をおこなった。H24年度は、おもに、温度刺激法の検討をおこなった。ボナロンチューブに温水をポンプにて循環させ咬筋部に接触させる方法(ポンフ法)とプラスチック製容器を直接咬筋部に接触させる方法(簡便法)をほぼ確立した。いずれも、画像にアーチファクトを生じず、十分な画像的な解析ができると考えられた。ただし、ポンプ法では、チューブの大きさなど、チューブと筋肉との接触面積、循環する水の量など検討する項目が残った。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、現在検討中のポンプ法での刺激に関して、チューブと筋肉との接触面積、循環する水の量など検討を行う。そのうえで、H24年度は、安静時での、温熱刺激した場合の咬筋のADCなどの変化を検討したが、今後は、咬合負荷後を行った状態で、温度刺激を行い変化を検討する。また、現在、拡散情報に関しては、mono-exponential法で検討したが、今後は、血流の関与 (perfusion)と真の拡散(diffusion)とを区分する為に bi-exponential法での検討を考えている。 H25年度は、昨年度に引き続き、安静時ガム咬みしめ後の変化を5名、ガム咬みしめ+温度刺激簿の変化を10名程度検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
温熱刺激法の改良のため、温水循環させるシステムの改良の予算が必要である。拡散画像などの、膨大な画像データが発生し、bi-exponentialでの解析が必要な事もあり、専用の解析端末、データ保管装置が必要である。 また、研究者一人の国内学会、研究打ち合わせのために、国内学会3回の旅費を想定している。
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