2013 Fiscal Year Annual Research Report
強度変調型陽子線治療法における門数および照射方向の最適決定法
Project/Area Number |
24791359
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
稲庭 拓 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, チームリーダー (10446536)
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Keywords | 放射線治療 / 陽子線治療 / 多門照射 |
Research Abstract |
粒子線を用いた放射線治療における線量分布の良し悪しは(a)標的領域に所定の線量を付与する、(b)正常組織の放射線障害を少なくする、の2点で決まるが、(a)は通常満たされるので、(b)が決め手になる。本研究の目的は多方向(多門)から照射治療するのに最適な方向の組合せを求める迅速な計算法を探索することにある。 放射線障害のリスクを計る指標(リスク指数)として、線量のシグモイド曲線で表される正常組織の障害誘発確率を用いた。まず1門照射のリスク指数を照射方向の関数として求めた。その結果、決定臓器(特に放射線感受性の高い臓器)を見込む方向でリスク指数が高く、その反対側で低い傾向が明らかになった。 多門照射では組合せが多く計算が困難なので、多門を2門照射の重ね合わせと考え、2門につきリスク指数を角度の関数として調べた。角度が小さいと標的の上流高線量域同士が重なるのでリスク指数が高い。角度が90度近辺では2門の重なりが少ないのでリスク指数は小さい。角度が180度に近付くと一方の標的上流の高線量域と他方の標的下流の高線量域とが重なり、リスク指数がわずかに増加する。この関数を用いると2門の照射方向が与えられるとその角度からリスク指数が求められ、大幅な計算の簡素化が計れた。 多門照射全体の最適化は①1門のリスク指数の積、②2門のリスク指数の組み合わせにわたる和を求め、①と②の二つの荷重和を総合的な多門配置のリスク指数とした。適当な多門配置を初期値として与え、最適化アルゴリズムを用いて反復計算し、多門配置の最適値を求める方法を開発した。これにより最適な照射方向の組合せを簡単な計算により短時間に求めることができ、膨大な計算時間を要する多門照射の線量分布は一度だけ計算すればよく、大幅な作業の効率化が図れた。 本研究成果の一部は、国際・国内会議で報告するとともに、原著論文として投稿中である。
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