2014 Fiscal Year Annual Research Report
動物および外科標本を活用した消化器癌の血管リンパ管新生と転移カスケードの解明
Project/Area Number |
24791368
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 宏之 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (90625097)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 実験外科学 / 消化器癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト大腸癌細胞株同所移植モデル原発巣および、その転移巣のホルマリン固定標本を用いて、E-cadherin, cytokeratin 20, beta-catenin およびvimentinの免疫化学染色を行った。16種の大腸癌細胞株、およびこれらに由来する同所移植腫瘍の染色様式は特徴的であり、大腸癌細胞株を「上皮系形質の細胞株」、「上皮間葉転換(EMT)形質の細胞株」、「間葉系形質の細胞株」の3つの形質群に分類できた。 細胞株の示す形質群と各細胞株のcDNAマイクロアレイデータを組み合わせ遺伝子発現解析を行った。EMT制御の候補遺伝子としてSERPINI1, CHST11, AGR2, FBP1, FOXA1の5遺伝子を抽出した。SERPINI1及びCHST11遺伝子をEMT制御における有力な候補遺伝子と考え、SERPINI1, CHST11に対しsiRNAを用いた遺伝子発現抑制実験を行った。SW620細胞株では両遺伝子の抑制でE-cadherinの発現上昇、vimentin, Snailの発現低下を確認した。細胞形態においても間葉系細胞の示す紡錘状形態から上皮系細胞の示す敷石状形態への転換が認められた。 本研究により、in vivo移植モデルを用いた腫瘍形成・浸潤過程におけるEMT形質の獲得を免疫化学染色により確認した。また本研究のcDNAマイクロアレイデータ解析からEMT制御に関連する5つの候補遺伝子が同定された。SERPINI1, CHST11に対して行った遺伝子発現抑制実験からは、両遺伝子がEMT制御に深く関連していることが示唆され、これら遺伝子に対する更なる解析が、大腸癌における腫瘍浸潤、転移メカニズムの解明につながるのではないかと考えられた。現在、臨床検体を用いた解析をさらに進めており、これらの結果を論文投稿し、審査後、現在再投稿中である。
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Research Products
(1 results)