2012 Fiscal Year Research-status Report
乳腺脂肪環境の癌発育における特異性の検証と環境修飾による癌間質相互作用の制御
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24791369
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤本 浩司 千葉大学, 総合安全衛生管理機構, 助教 (60456027)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 乳腺外科学 / 癌間質相互作用 / 脂肪組織 |
Research Abstract |
乳癌の発症年齢のピークは40~50代であり、この時期は乳腺組織が退縮し、脂肪組織に置換される時期に一致する。乳腺発達と退縮に伴い、他の脂肪組織と比較して急激に起きる脂肪リモデリングは、乳腺脂肪を特徴づけ、その中で発育する乳癌の進展に影響を与えると予想される。 本研究は、乳癌の発育環境である脂肪組織に着目し、脂肪細胞と脂肪組織リモデリング時に動員されるマクロファージとがもたらす微小環境の癌発育・進展に及ぼす役割を明らかにするものである。 そのために乳癌手術時に得られる乳腺周囲脂肪織と乳房再建時に得られる乳腺外脂肪組織の臨床検体の解析を行い、乳癌脂肪環境の特殊性を見出すことを試みた。 当初、乳房全摘時腹部脂肪組織による同時再建症例による乳房脂肪と腹部脂肪のプロファイルの比較を予定していたが、症例集積にやや時間を必要としているため、現在は比較的試料採取が容易な浸潤癌と非浸潤癌における脂肪組織からの天井培養を用いた脂肪細胞の単離、機能解析に重点を置いて施行中である。具体的には乳癌手術時に癌部、非癌部より乳腺脂肪組織を取り出し、天井培養の手法で単離された条件の異なる脂肪細胞におけるconditioned mediumを抽出し、抗体アレイ等の手法により発現する因子の同定を行った。それにより走化性や浸潤能に関わる興味深いいくつかの知見が得られてきている。ここから得られる知見は、乳癌において全身治療を必要とする浸潤癌と局所治療のみで完結し得る非浸潤癌をホスト側の要因から選別することにつながり、病因学的にも診断学的にも発展する礎となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的とする条件の手術検体の集積と手術検体からの脂肪細胞単離条件の設定に時間が掛かった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は単離された条件の異なる脂肪細胞により得られたconditioned mediumにて乳癌細胞株をプライミングすることで、癌細胞の増殖能、走化性、浸潤能において生じる変化ついて評価を行っていく。さらに、その発現因子を実際の手術病理標本において免疫染色などにより評価していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
免疫染色用製品 20万 PCR関連製品 10万 Western blot関連製品10万 抗体アレイ関連製品40万、細胞培養関連製品30万 国内旅費10万、海外旅費10万、研究成果投稿料10万
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