2012 Fiscal Year Research-status Report
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24791379
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
坂本 和彦 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (50420526)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝子多型 / サイトカイン / 術後合併症 / 手術 |
Research Abstract |
手術後の合併症は様々な要因により発症し、それを予防するために術後管理を徹底してもその発症には個人差があり予測は困難である。様々な合併症を予測、術後管理を効率化するために生体反応の主体であるサイトカインの遺伝子多型を解析、術前に検査することによって個々の合併症リスクの予測システムを開発する。目標症例数100例を目指してサイトカイン遺伝子多型、術後のサイトカイン濃度を測定し、多型とサイトカイン産生との関連を明らかにする。 平成24年度の研究実績としては、現在までに食道癌、肝臓癌の症例を中心に消化器外科手術80例の症例から同意を得る事ができた。術前の患者の状態(年齢、性別、心疾患・呼吸器疾患・糖尿病の有無、癌進行度など)、手術侵襲に関与するデータ(術式、開腹or腹腔鏡、手術時間、出血量)、術後の血液検査値(白血球数、CRP値、生化学検査値)を収集、記録した。そして高サイトカイン血症に基づく合併症(急性呼吸促迫症候群、急性肺障害)、感染性合併症(肺炎、縫合不全、腹腔内膿瘍、創感染)、両者の関与した合併症(敗血症)を記録した。術前、術直後,術後1日目,術後3日目に患者血液を採血、血清を分離保存し、ELISA法により前炎症性サイトカインであるIL-1β・TNFα、IL-1の受容体に拮抗するIL-1RA、炎症性サイトカインであるIL-6、抗炎症性サイトカインであるIL-10、抗腫瘍性サイトカインであるIL-18、マクロファージ遊走阻止因子であるMIFの7種類の血中サイトカイン濃度を測定した。また血液中より遺伝子を採取、この7種類のサイトカイン遺伝子のプロモーター領域の多型を対立遺伝子特異的PCR法(ARMS-PCR法)で解析した。 サイトカイン遺伝子多型や手術侵襲(手術手技、術後合併症、術後感染症)に関連する学術集会・研究会に参加し情報収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の研究実績として、手術侵襲の高度な肝臓癌、食道癌を中心に症例を集積した。100例の症例からサイトカイン遺伝子多型、血中サイトカイン濃度を測定予定であったが現在は80例の集積にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き症例の集積を行う予定である。平成24年度は肝臓癌、食道癌を中心に集積していたため年間80例と症例集積が遅れているので平成25年度は胃癌、大腸癌を含め症例集積を行う予定である。また100例集積した時点で周術期血中サイトカイン濃度と遺伝子多型との関連を解析し多型によるサイトカイン産生量の差を検証し、サイトカイン産生に関与する遺伝子多型を同定する。また測定した複数の遺伝子多型の組み合わせにより術後合併症の予測システムを工学部との共同作業で開発する予定である。同時に平成25年度も症例集積を続け開発した予測システムを用いてprospective studyを行いシステムの感度、特異度を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の実験内容に変更は無かったが、当初予定していた100例の症例集積が達成出来ず80例に留まってしまったため212,100円の未使用額が生じた。この未使用額については平成25年度の実験試薬の購入に充てる。引き続きサイトカイン遺伝子多型、血中サイトカイン濃度を測定する。また手術、サイトカイン、術後合併症(感染、手術侵襲)に関連する学術集会にて研究成果の報告、情報収集を行う予定である。
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