2013 Fiscal Year Research-status Report
患者自身の皮下で簡便に作成できる自己の結合組織からなる小口径代用血管の開発
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24791389
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山南 将志 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 後期専攻医 (30438204)
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Keywords | 生体内組織形成技術 / 小口径代用血管 / 組織工学 |
Research Abstract |
生体内組織形成技術を用いた小口径代用血管の開発を行った。ラット背部皮下に直径1.5mm、長さ20mmのシリコーン円柱基材を埋入し4週後に摘出すると基材周囲に自己結合組織からなるカプセルが形成された。カプセル組織から内部のシリコーン基材を抜去すると自己組織のみからなる結合組織管(バイオチューブ)が得られた。 得られたバイオチューブを小口径代用血管としてラット腹部大動脈への移植を行った。バイオチューブはそのままだと柔軟で円筒形状が保持できないため、内腔面が確認しにくく、マイクロサージャリーでの血管吻合が困難であるため、メタノールによる脱水処理を行った後に吻合した。脱水処理により一時的にバイオチューブは硬くなり、内腔面の確認が容易となったため通常の血管吻合が可能となった。 移植後に血流を再開させるとバイオチューブの拍動は良好で瘤化を認めなかった。術後16ヵ月後にMRAおよび超音波検査にてグラフト開存性評価を行ったが、狭窄無く開存しており、開存率は89%であった。グラフトを摘出し内腔面を観察すると内腔面に血栓形成はなく、表面は平滑であった。組織学的評価においてバイオチューブ内腔面は内皮細胞によって完全に覆われていた。また人工血管移植後長期における問題点の一つである吻合部内膜肥厚はバイオチューブでは認めなかった。しかし、一部のグラフトにおいて部分的な石灰化を認めた。石灰化も移植後長期における問題点の一つであるが、石灰化の原因についてはまだはっきりしない。今後は石灰化を防ぐグラフト処理などの検討が必要と思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオチューブ移植モデルがほぼ確実に行えるようになったことにより、今後も移植モデルの作製をできるだけ行い、移植後長期における組織学的変化について検討していく。特に長期移植を行うことで初めて明らかになった石灰化の問題についても、その原因や予防法などについて検討していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
バイオチューブの作製、移植実験に必要な動物実験施設や移植後の形態評価のための設備はすでに整っており、主に実験動物の購入、飼育費用や動物実験時の麻酔薬などの薬品、血管縫合糸やガーゼ、シーツなどの手術消耗品の購入に研究費を使用する。 また、本研究の成果は国内外において高い評価を得ており、今後も本研究の成果を国内外での学会で発表していく予定であり、このための旅費にも研究費を使用する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者が直腸癌を発症したため平成24年12月より平成25年3月まで手術、入院加療および自宅療養を行っていた。平成25年4月より研究に復帰する予定であったが、化学療法による免疫抑制状態となったこともあり平成25年9月まで動物実験を停止せざるを得なかった。このため予定していた研究を進めることができず、翌年度に繰り越す研究費を生じてしまった。 平成24年10月より動物実験を再開しており、繰り越した研究費は主に実験動物の購入、飼育費用や動物実験時の麻酔薬などの薬品、血管縫合糸やガーゼ、シーツなどの手術消耗品の購入に研究費を使用する。 また、本研究の成果を国内外での学会で発表するための旅費にも研究費を使用する予定である。
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Research Products
(8 results)