2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒト間葉系幹細胞注入による乳房再建法の実現化に向けた基礎的エビデンスの創出
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24791392
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
関 朋子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70528900)
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Keywords | 幹細胞 / 乳房再建 / 細胞移植 / 組織工学 |
Research Abstract |
本研究ではヒト間葉系幹細胞を用い、生着基盤として生体吸収性ハイドロジェルを加えること、更にマウスの乳房原基とされるMammary Fat Padの部分切除という具体性の高いモデルを使用することによって、細胞移植の安全性・注入後の動態を明らかにし、新しい幹細胞移植による乳房再建法を具現化する基礎的エビデンスの創出を目指すものである。特にin vivoでは免疫不全マウスの乳房(Mammary Fat Pad)切除モデルを用い、移植細胞としてヒト細胞を用いることによって、移植した細胞とマウス由来細胞との相違を明確化し、移植細胞の動態・分化、周囲組織との反応などを詳細に検討する手法を用いる計画であった。しかしながら、ヒト間葉系幹細胞を用いて、細胞移植をした結果、マウス体内でヒト間葉系幹細胞が脂肪細胞へ分化もしくは長期生着した上で欠損部位を十分に埋めるような動態を示さなかった。そのため、ヒト細胞でなく、同種であるマウス間葉系幹細胞を使用するモデルへ変更し、まずマウス骨髄由来間葉系幹細胞の脂肪細胞への分化を、脂肪前駆細胞と比較する実験を行い、その分化程度を評価した。実際に、マウス間葉系幹細胞はin vitroでは脂肪細胞へ分化することをOil Red染色等で確認した。また使用するマウスについても、nudeマウスはMammary Fat Padが未発達であることが判明したため、in bredのマウスを用いることで十分なMammary Fat Padを持つことを確認た上で、細胞移植実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハイドロジェルと共にヒト間葉系幹細胞を移植し、2週間まで観察を行って、その乳房再建効果を評価した。その結果、マウス体内ではヒト細胞が十分な影響を受けないこと、また使用したnudeマウス自体がMammary Fat Padが未発達であり、本移植モデルで差が出にくいことが判明したため、研究計画をやや修正し、マウス間葉系幹細胞を用いて、同様の実験を行っている。ただ、すでにヒトで手技的にはすべて施行できたため、全体計画としてはほぼ遅れなく進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のようにヒト細胞から同種のマウス細胞の使用への計画変更を行った。しかしながら、すでにヒト細胞で行って確立した手法をそのまま異なる細胞を用いることが可能であるため、最終年度での計画成就を目指すことが可能と考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
間葉系幹細胞の分化誘導試薬をキットとして購入し、用いる予定であったが、キットの内容を別々に当科で作成することで、高いキットを購入せずに試薬調整が可能であることが判明した。そのため、予定した予算より若干少なく終了することができた。 分化誘導については、ヒトだけでなくマウスの細胞で行う必要が生じたため、従来計画よりもより多くの分化誘導をかける必要が生じた。単価が安く行えるように調整したが、次年度で行う分化誘導回数の増加に対応するために、繰越金を使用する予定である。
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