2013 Fiscal Year Annual Research Report
メタボローム解析による乳癌サブタイプ別の代謝特性の解析と新規個別化治療戦略の確立
Project/Area Number |
24791394
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松本 暁子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70573418)
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Keywords | 乳癌 / MALDI-MS / メタボローム解析 |
Research Abstract |
乳癌はIntrinsic subtypeごとにその治療法が異なるが、このサブタイプ別に臨床検体および細胞株における代謝特性にどのような違いが認められるかを検討した。まず、穿刺吸引組織診を行い、30秒以内に液体窒素へ保存した検体では、血管結紮を要する術中消化器組織検体と比較して、高いエネルギーチャージを維持することが確認された。これらをサブタイプ別にCE-MSを用いて解析を行うと、各サブタイプ別に特徴的な代謝特性を示すことが示唆された。特に、ホルモン受容体陽性・HER2陰性であるLuminal typeとホルモン受容体陰性・HER2陰性であるTriple negative typeの間ではその代謝特性が大きく異なることが確認された。すなわち、Luminal A typeの臨床検体においては、解糖系が亢進することでATP産生が大幅に亢進しているのに比較して、Triple negative typeでは、メチレーション回路の代謝産物のほとんどにおいて高値を示すことが確認された。また、GSH/GSSG比においてはTriple negative typeにおいて高値を示し、これらサブタイプにおいて還元型であるGSH量が豊富に存在することで、抗癌剤感受性に影響を与えている可能性が示唆された。これらをMALDI-IMSにおいて、癌部のみの代謝特性を比較したところ、やはり同様の代謝特性の差異が多く検出され、サブタイプごとに全く異なる細胞増殖のメカニズムが存在することが示唆された。 これらの結果から、今後は複数の先端計測技術を用いた代謝解析の構築により、これらサブタイプ間の相違を利用した個別治療やより細かいテーラーメイド医療が可能となると考えられた。
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