2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24791396
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
雷 小峰 昭和大学, 医学部, 助教 (00595069)
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Keywords | 腹部大動脈瘤 / 平滑筋細胞 / Hic-5 |
Research Abstract |
大動脈瘤は病変部位に炎症細胞の浸潤、細胞外マトリックス分解亢進の組織特徴を示す血管疾患である。その形成過程では様々な分子作用が制御され、特に活性酸素種が病変部で著明に増加し、動脈瘤形成に深く関与することがよく知られている。 TGFβ1あるいは過酸化水素により発現誘導される遺伝子 Hic-5 (hydrogen peroxide inducible clone-5; 別名: TGFβ1-inducible transcript-1, Tgf1i1)は細胞外マトリックスと細胞の接着点にある細胞接着斑タンパク質をコードし、同じLIMドメインファミリーに属するパキシリン(Paxillin)と高い相同性を示すアダプター蛋白質である。 Hic-5欠損マウスはメンデリズムに従って誕生し、発育、生殖能は共に正常であった。しかし、apolipoproteinE (apoE) 欠損マウスにアンギオテンシンII (AngII) を持続投与することにより誘導される腹部大動脈瘤モデルマウスを用いて Hic-5 の動脈瘤形成過程への関与を検討した。その結果、Hic-5の欠損により腹部大動脈瘤の形成および動脈瘤破裂による死亡をほぼ完全に抑制できることを見出した。この現象は平滑筋細胞特異的なHic-5コンデイショナルターゲテイングマウスにおいても再現され、平滑筋細胞内のHic-5が動脈瘤発症に重要であることを示した。 またその詳細なメカニズムの検討では血管平滑筋細胞内のHic-5 はMKK4-JNK2の足場タンパク質としてJNK2経路を活性化し弾性繊維を分解するMMP2の発現量及び活性を誘導し腹部大動脈瘤形成を制御することを明らかにした。
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