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2012 Fiscal Year Research-status Report

大動脈瘤における血管修復機構の解明~血管平滑筋に着目した治癒療法の開発~

Research Project

Project/Area Number 24791398
Research InstitutionKurume University

Principal Investigator

平方 佐季  久留米大学, 医学部, 助教 (60597425)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords大動脈瘤 / 血管 / 分子生物学
Research Abstract

大動脈瘤は、原因不明の局所的慢性炎症により壁の脆弱化が進行し破裂に至るとされる。大動脈瘤組織は、炎症細胞による組織破壊と血管平滑筋による組織修復が混在している。大動脈瘤の制御には、破壊の抑制のみならず修復の促進が必要と考えられ、炎症メディエーターであるIL-6は両者を制御すると考えられる。本研究では、両者のうちこれまで着目されていなかった血管平滑筋による組織修復に着目した。ヒト大動脈瘤組織の平滑筋細胞では、IL-6系シグナルの1つであるSTAT3が活性化しており、平滑筋細胞におけるSTAT3活性化は、平滑筋細胞の増殖促進やアポトーシス抑制に関与しているとされている。以上から、大動脈瘤組織における平滑筋細胞でのSTAT3の役割に注目して血管修復機構の解明を目的に研究を進めた。
(ヒト大動脈瘤組織を用いた検討)免疫組織化学によりヒト大動脈瘤組織におけるSTAT3の活性化を認めた。
(マウス大動脈瘤組織を用いた検討)大動脈周囲への高濃度塩化カルシウム塗布で惹起する大動脈瘤を用いて平滑筋におけるSTAT3の活性化や平滑筋細胞の増殖やアポトーシスを経時的に観察した。多重免疫染色において平滑筋細胞でのSTAT3活性化と炎症惹起後急性期の平滑筋細胞の増殖やアポトーシスを認めた。平滑筋細胞の増殖はSTAT3の活性化に一致してみられた。
(遺伝子操作マウスを用いた検討)大動脈瘤における平滑筋細胞でのSTAT3の意義を検討するため、平滑筋特異的にSTAT活性化抑制因子であるSOCS3及びSTAT3をノックアウトしたマウスを作成し、個体数が充分得られた時点で大動脈モデルの作成を開始し、腹部大動脈瘤形成の肉眼的差異を野生型と比較した。大動脈瘤径の有意差は得られていないが、SOCS3ノックアウトマウスでは、組織学的に線維化の抑制がみられ、線維化とSTAT3活性化との関連が示唆される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

血管平滑筋による組織修復機構を解明する上で、ヒト大動脈瘤の平滑筋細胞で活性化が確認されているIL-6系シグナルのSTAT3に着目して研究を進めた。
(マウス大動脈瘤組織を用いた検討)
大動脈周囲への高濃度塩化カルシウム塗布で惹起する大動脈瘤を用いて、STAT3及び活性化型STAT3であるphospho-STAT3の免疫組織化学や多重免疫染色を行い、マウス大動脈瘤でもSTAT3が活性化していることを確認した。また、同マウス大動脈瘤組織を用いて、細胞増殖のマーカーである細胞周期関連核蛋白Ki67やアポトーシスのマーカーであるTUNELの多重免疫染色を行い、マウス大動脈瘤組織においても平滑筋細胞の増殖やアポトーシスがみられることを確認できた。
(遺伝子操作マウスを用いた検討)
平滑筋特異的にSTAT3活性化抑制因子であるSOCS3やSTAT3をノックアウトしたマウスを作成し、個体数が充分得られた時点で大動脈モデルの作成を開始した。腹部大動脈瘤形成の肉眼的差異を野生型と比較し、明らかなはみられていないが、SOCS3ノックアウトマウスでは組織学的に線維化が減少している印象であった。STAT3の関与が示唆され、比較する個体数を増やし、さらなる追求が必要である。

Strategy for Future Research Activity

引き続き、平滑筋特異的SOCS3ノックアウトマウス及び平滑筋特異的STAT3ノックアウトマウスの個体数を増やして野生型との比較を行っていく。瘤径の肉眼的差異のみではなく、組織解析やこれまで確認してきたSTAT3、pSTAT3、Ki67やTUNELなどを始めとする細胞内シグナルや分子についても野生型との比較をする。これまでの結果から、平滑筋細胞の増殖やアポトーシスは、炎症惹起後急性期に認めることから、経時的な大動脈瘤モデルを作成し、組織学的及び分子学的解析を行う。さらに組織修復に関わるその他の分子についての遺伝子学的解析も行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

上記した研究の推進方策を進めていく上で、マウスの購入や飼育費、組織培養試薬や生化学実験の消耗品費用及び人件費として使用する。また、遺伝子学的解析も行う場合はその費用として使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] Macrophage IL-6 Signaling is Critical Involved in the Progression of Acute Aortic Dissection2013

    • Author(s)
      大野聡子、青木浩樹、西原通秀、古荘文、平方佐季、西田憲史、安川秀雄、今泉勉
    • Organizer
      第77回日本循環器学会学術集会
    • Place of Presentation
      パシフィコ横浜
    • Year and Date
      20130315-20130317
  • [Presentation] Involvement of IL-6 in Pathogenesis of Abdominal Aortic Aneurysm2013

    • Author(s)
      西原通秀、青木浩樹、大野聡子、古荘文、平方佐季、西田憲史、今泉勉
    • Organizer
      第77回日本循環器学会学術集会
    • Place of Presentation
      パシフィコ横浜
    • Year and Date
      20130315-20130317
  • [Presentation] マクロファージIL-6シグナル亢進は大動脈解離を発症させる2012

    • Author(s)
      大野聡子、青木浩樹、西原通秀、古荘文、平方佐季、西田憲史、安川秀雄、今泉勉
    • Organizer
      第35回日本高血圧学会総会
    • Place of Presentation
      ウェスティンナゴヤキャッスル・名古屋能楽堂
    • Year and Date
      20120920-20120922
  • [Presentation] 大動脈瘤と大動脈解離におけるSTAT3経路の役割2012

    • Author(s)
      大野聡子、青木浩樹、西原通秀、古荘文、平方佐季、西田憲史、安川秀雄、今泉勉
    • Organizer
      第49回日本臨床分子医学会学術集会
    • Place of Presentation
      京都みやこメッセ
    • Year and Date
      20120413-20120414

URL: 

Published: 2014-07-24  

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