2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791401
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲垣 奈都子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 研究員 (00611419)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | NASH / 肝臓 / 再生医学 |
Research Abstract |
我が国でも生活様式の欧米化にともない肥満・糖尿病・高血圧・高脂血症などのいわゆるメタボリックシンドロームの患者数が激増している。そして飲酒歴のない脂肪化を伴う慢性肝疾患が増加していることが近年注目されるようになった。事実メタボリックシンドローム患者の約半数に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が認められる。NAFLDは単純性脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に大別される。単純性脂肪肝は、病態も進行せず予後も良好と言われる。一方、NASHはその組織学的形態も単純性脂肪肝と大きく異なり最終的に肝硬変や肝がんへと進行する可能性も高く予後も不良である。NASH患者数は、今後ますます急増していくことが見込まれる。治療法および対処法の開発のためにも機序の早期解明が求められているNASH研究だが、そのためには動物モデルが不可欠だ。しかしながら現在のところヒトNASHの病態を正確に反映したNASH動物モデルは存在しない。本研究代表者の所属する研究室ではOSMレセプターノックアウトマウスに対するコリン欠乏食負荷モデルを新たに確立した。本研究課題では、はじめにNASH動物モデルとしての妥当性について更なる評価および長期観察を行った。OSMレセプターノックアウトマウスに対するコリン欠乏食負荷モデルは、非常に個体差が激しく、系としては安定しないことが判明した。そこで、新たに別のNASHマウスモデルの探索および確立を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究代表者の所属する研究室で新たに確立したOSMレセプターノックアウトマウスに対するコリン欠乏食負荷モデルでは長期観察ならびに詳細な解析を加えたところNASH動物モデルとしての妥当性が不十分であると考えられた。そこで、別のNASHモデルの探索に努めた。様々なマウスモデルを検討した結果、最適なモデルを確立することができた。本研究課題における新たなNASHモデルの確立の重要性および意義は非常に大きく、この点が達成度に直結した。
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Strategy for Future Research Activity |
NASH肝は、正常肝に比べ再生能力が劣ると言われる。これまで、正常肝における肝再生に着目した研究は多数報告されているが、NASH肝における肝再生に関する知見はほとんどない。本研究課題では、再度新たに確立したNASHモデルを用いてNASH肝における肝再生の機序を明らかにすることを目指す。また個々の肝細胞の再生時の動態に焦点を当てた研究はこれまでないため、NASHの各病態における肝細胞の肥大や分裂能力の違いについても検討を加える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)