2013 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌腹膜播種の微小環境における上皮間葉転換の解明と治療標的の意義
Project/Area Number |
24791402
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
木下 淳 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (90584855)
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Keywords | 胃癌 / 腹膜中皮細胞 / PSK / EMT / 線維化 |
Research Abstract |
平成24年度は、ヒト大網より分離培養したHPMCはTGF-β処理によりEMTが誘導され、BRM製剤であるPSKによって用量依存性にそのEMT変化が抑制される事を証明した。このPSKによるEMT抑制機序として、PSKはHPMCにおけるTGF-β経路であるSmad2のリン酸化を抑制する事をwestern blotにて蛋白レベルで確認した。 さらにHPMCを胃癌細胞株OCUM-2MD3と共培養した結果、TGF-β刺激と同様な上皮系マーカーの発現減弱、間葉系マーカーの発現亢進を認め、細胞間相互作用によるEMT誘導が確認され、この共培養によるEMT誘導は、PSK500μg/mlにより抑制される事を証明した。 ■マウス線維化皮下腫瘍モデルを用いたPSKの抗線維化作用に関する研究 平成25年度は、胃癌SCIDマウス皮下腫瘍モデルを作製し、①胃癌細胞 PSK(-)②胃癌細胞 PSK(+)③胃癌細胞+HPMC PSK(-)④胃癌細胞+HPMC PSK(+) の4群間の皮下腫瘍の造腫瘍性、EMT markerの発現状況、腫瘍内線維間質量を比較検討した。その結果、胃癌細胞とHPMCの共投与により胃癌細胞単独投与に比較して有意に皮下腫瘍容積は増加したが、共投与を行った③、④群間の比較では、PSK投与群である④群の腫瘍サイズはPSK非投与群よりも有意に縮小した。また、免疫組織染色にて皮下腫瘍内の上皮系マーカー(E-cadherin)と間葉系マーカー(αSMA、vimentin)の発現状況を検討した結果、PSK投与群において上皮系マーカーの発現亢進と間葉系マーカーの発現抑制が確認された。また、腫瘍内の線維間質量をazan染色で定量し、PSK投与により腫瘍内の線維化抑制が認められた事からPSKのTGF-β阻害によるEMT抑制を介した抗線維化作用の可能性が示された。
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