2013 Fiscal Year Annual Research Report
アダプタータンパク質ASC下流シグナルを標的とした新規大腸がん治療標的分子の同定
Project/Area Number |
24791405
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
藤井 千文 信州大学, 医学系研究科, 助教 (10361982)
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Keywords | アダプタータンパク質 / シグナル伝達 / 大腸がん |
Research Abstract |
大腸がんは致死人口が高く、本邦では肺がんに次いで2番目となっている。本研究課題では、大腸がんを含む種々のがんの悪性化に伴い遺伝子発現量の低下が見られるASCの下流シグナル分子の同定を試み、ASCを介したがん細胞増殖抑制の分子メカニズムの解明と、新規大腸がん治療標的分子を同定することを目的とした。昨年度までに、ASCを過剰発現させると増殖抑制が見られるヒト大腸がん細胞株DLD-1、およびヒト線維肉腫細胞株HT-1080でのASC結合分子の包括的解析をプロテオミクスの手法を用いて行い、ASC結合候補分子を得た。そこで、今年度は、このうちのいくつかの分子について、ASCとの結合および機能解析を試みた。 ASC結合候補分子のうち、チロシンキナーゼシグナル伝達の足場タンパク質、アクチン結合分子、2種のRNAヘリカーゼとの結合を293T細胞での過剰発現系で免疫沈降法を用いて解析した。その結果、前者とASCとの結合が認められた。また、RNAヘリカーゼとASCとの結合については、予備的検討の段階であるが、2種のうち1種は293T細胞での過剰発現系での結合が認められた。さらに、チロシンキナーゼシグナル伝達の足場タンパク質およびアクチン結合タンパク質とASCとの結合を、種々のがん細胞株を用いて免疫沈降法により解析したところ、内在性のタンパク質同士の結合が見られた。また、ASCノックダウン細胞では、MAPキナーゼのリン酸化が亢進していた。以上の結果から、ASCが、ある種のがん細胞においては、シグナル伝達の足場タンパク質に結合してMAPキナーゼシグナル伝達を阻害している可能性が示唆された。この足場タンパク質は、大腸がんにおいて高発現しているという報告があることから、今後、ASCとの結合部位を詳細に解析することにより、新規大腸がん治療法の開発に繋がる可能性が考えられた。
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Research Products
(6 results)