2012 Fiscal Year Research-status Report
TGF-β活性化機構に着目した肝再生の分子機序解明と肝再生促進の新規治療法開発
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24791434
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
林 洋光 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 特任助教 (80625773)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 肝再生 / TGF-beta / トロンボスポンディン1 |
Research Abstract |
TGF-βは上皮細胞や血管内皮細胞に対する増殖抑制作用や免疫抑制作用を有し、発癌抑制や血管新生、免疫系のコントロールなどに関与する多機能性増殖因子である。肝再生の分子機序解明を目的とする本研究に関してTGF-βは、1) in vitroで強力な肝細胞増殖抑制効果を示す、2) TGF-βは生体内で不活化型として合成され細胞外マトリックスに貯蔵される、3) 局所のTGF-βシグナルは不活化型を活化型へ変換する活性化機構によりコントロールされる(活性化型TGF-βはTGF-β受容体と結合しシグナルを伝達する)、といった特徴を有する。本研究では、再生肝においてTGF-β活性化機構として機能するトロンボスポンディン1のInhibitory peptide 投与による肝再生促進法の開発を最終目的としており、本年度は70%肝切除マウスモデルの作成し、Inhibitory peptide 投与群とcontrol群でinhibitory peptide投与により術後早期のTGF-βシグナルがdown regulateされていることをリン酸化Smad2のwestern blot法を用いて確認した。また、BrdUを用いた肝細胞増殖能に関する検討にて、inhibitory peptide投与が肝切除後の肝細胞増殖を促進されることを確認している。 本研究結果は臨床応用されれば、現在有効な手段のない肝再生促進療法における新規治療法となりえる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
70%肝切除マウスモデルでの、TSP1によるTGF-beta活性化を阻害するペプチドの投与量および時間の条件設定が終了し、ペプチド投与によるTGF-beta signalの抑制および肝再生促進効果の確認はとれており、今後はデータの再現性の確認および副作用に関する検討を行ったのちに研究成果を国際的学術誌に発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
TGF-β活性化機構に着目した肝再生の分子機序解明と肝再生促進のための新規治療法の開発を行う上で、申請者らはTSP1によるTGF-beta活性化を阻害するペプチドに着目し、すでにペプチド投与によるTGF-beta signalの抑制および肝再生の促進効果を確認している。今後は、ペプチド投与による副作用について、血液生化学データや病理組織標本による検討を予定している。 研究成果については、国際的な学術誌へ報告する予定であるとともに、本研究を発展させた臨床応用を目指したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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