2012 Fiscal Year Research-status Report
膵癌、胆道癌に高発現するFOXM1を標的とした分子標的治療の開発
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24791435
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
生田 義明 熊本大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70452894)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | FOXM1 / 胆管癌 / 膵癌 / 分子標的治療 |
Research Abstract |
cDNAマイクロアレイ解析により同定した腫瘍関連抗原FOXM1は肝内胆管癌のみならず、膵癌、膀胱癌および肺小細胞癌にも高発現している。本研究は、FOXM1の機能解析、それを用いた癌の診断、予後予測および分子標的療法のターゲットとしての治療法への応用の可能性を探ることを目的とする。 1.胆管癌および膵癌患者におけるFOXM1発現の検討 抗ヒトFOXM1抗体をもちいたELISA法により、胆管癌および膵癌患者の血清、手術時の術中洗浄腹水のFOXM1蛋白の測定に、胆道癌及び膵臓癌における診断的意義があるか否かについて検討を試みている。現在少数例の胆管癌患者および正常成人コントロールの血清を対象にELISA法による血清遊離FOXM1蛋白の測定を行ったが、正常成人と比較して有意な差を認めなかった。今後は、さらにサンプルを収集し、検討を進める予定である。 2.胆管癌および膵癌患者の切除組織における間質および癌細胞のFOXM1蛋白の発現を検討し、それが予後因子となるか否かを検討する。 胆管癌切除組織を対象として、抗ヒトFOXM1抗体を用いたFOXM1の免疫組織学的染色を行い、各症例の癌細胞および周囲の正常胆管細胞のFOXM1蛋白の発現を検討中である。癌細胞におけるFOXM1の発現の程度は、高発現している症例から発現の弱い症例までさまざまであり、FOXM1の発現の程度と、癌の進行度、生存率、無再発率や治療効果などにおいて相関が認められるかを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
対象としている疾患が膵癌および胆管癌であり、症例が比較的少ないため、サンプルの収集に時間がかかっている。サンプル集積後は、免疫組織学的検討および血中のFOXM1蛋白測定のためのELISA法の手技はおおむね確立されており、今後は検討が進む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ELISA法による血清FOXM1蛋白濃度の測定が、胆管癌および膵癌患者において診断的意義があるか否かについて症例を早急に集積し検討を行う。癌患者において診断的意義があると考えられる際は、化学療法施行中の患者を含め、さらに多数の癌患者を対象として、FOXM1の発現と癌の進行度や転移との相関を検討する。 FOXM1が、正常コントロール群と比較して癌患者で有意に上昇していない場合は、癌の早期診断や再発診断には有用でないという結論になるが、われわれは、すでにFOXM1ペプチドを用いて癌患者の末梢血からFOXM1特異的リンパ球を誘導できることを報告している(Yokomine et al, Int J Cancer, 2010)。このことからFOXM1が、分子標的治療のターゲットとなりうる可能性が高いと考えられる。 まずはin vitroで、FOXM1を高発現する細胞株に対して抗FOXM1抗体を添加し、その細胞の状態の変化、浸潤能を観察する。in vivo実験では、あらかじめマウスの腹腔内に抗FOXM1抗体を数回接種し、その後に移植した細胞株の増殖を観察する予防実験と、腫瘍をマウスに移植した後に、マウスの血中および局所に抗FOXM1抗体を接種する治療実験に分けて行う。 腫瘍の移植部位は、皮下移植モデル、腹膜播種モデルおよび転移モデルに分けて行う。さらに、FOXM1蛋白を免疫することにより、同様にして移植した癌細胞に対して、増殖抑制効果が認められるか否かを観察する。つまり、FOXM1蛋白質を免疫することで、キラーT細胞やヘルパーT細胞などのFOXM1特異的免疫反応を惹起することが出来るか否かについて検討する。FOXM1蛋白接種群とコントロール群における腫瘍の内部に、T細胞が浸潤しているかを免疫組織学的に観察することにより、マウスの体内で特異的免疫反応が誘導されているかどうか検討可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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