2013 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム構造解析による食道癌の新規癌関連遺伝子の同定と臨床応用
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24791441
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小松 周平 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40578978)
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Keywords | 消化器外科学 / 食道外科学 / 分子生物学 / 増幅遺伝子 / 癌遺伝子 / 分子標的 |
Research Abstract |
食道癌は、極めて悪性度の高い難治性の癌であり、手術、化学放射線療法、抗癌剤治療等の集学的な治療が望まれる。申請者は、43種類の食道扁平上皮癌細胞株に対してアジレント244KオリゴアレイCGH解析を行い、既知の増幅領域の再評価を行った。特に、1q増幅領域に坐位し、食道扁平上皮癌で高発現しかつ細胞増殖に関わる新規の癌関連遺伝子候補としてSMYD2,DTL,TMEM206を同定した。SMYD2は詳細な分子機構と臨床的意義を明らかにして報告した(Komatsu S et al. Carcinogenesis 2009)。本研究では、DTL, TMEM206遺伝子について解析を進めてきた。今回、分子機構について解明すべく、高発現株、増幅株に対して、複数の特異的siRNAを用いたノックダウン実験を行い、細胞増殖、細胞周期への関与を明らかにした。また、同研究のCGH解析でのゲノム構造解析を基盤として、11q13に高頻度に高増幅を認めたCCND1遺伝子について、食道表在癌において血漿中遊離DNAのコピー数を指標とした増幅の程度の評価と臨床的意義について明らかにして報告した(Komatsu S et al. Dig Dis Sci. 2014).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回、食道癌の増幅領域に坐位する候補遺伝子に対して、①食道癌臨床検体を用いた蛋白発現解析による予後、悪性度に対する評価、②発癌、悪性度に関する分子機構の更なる解明(下流分子、標的分子の同定)、③化学療法、化学放射線療法の感受性予測や耐性作用の解明、④遺伝子発現の診断マーカーとしての応用、⑤血中遊離DNAの遺伝子コピー数の定量による血液・体腔液診断、早期診断への応用、⑥他臓器癌における発現亢進による腫瘍の増殖・悪性度への関与の評価、を研究計画として研究を進めた。既に、①関しては、国立がん研究センター(現 防衛医科大学校 病態病理学講座 教授) 津田 均博士のもと、食道癌臨床検体を用いた蛋白発現解析による予後、悪性度に対する評価の意義を明らかにした。②に関しては、本年、高発現株、増幅株に対して、複数の特異的siRNAを用いたノックダウン実験を行い、細胞増殖、細胞周期への関与を明らかにした。③に関しては現在解析中である。④、⑤に関しては、TMEM206、DTL遺伝子については解析中であるが、CCND1遺伝子について、食道表在癌での増幅を指標とした血中バイオマーカーの開発を行い報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
食道癌の1q増幅領域に坐位する候補遺伝子に対して、上記に①から⑥に示した研究計画のうち、②発癌、悪性度に関する分子機構の更なる解明(下流分子、標的分子の同定)についてさらに詳しく解析を進める。また、③化学療法、化学放射線療法の感受性予測や耐性作用の解明、④遺伝子発現の診断マーカーとしての応用、⑤血中遊離DNAの遺伝子コピー数の定量による血液・体腔液診断、早期診断への応用、についても継続して進める。また、分子機構の明らかになった遺伝子は⑥他臓器癌における発現亢進による腫瘍の増殖・悪性度への関与の評価、を行う予定である。また、本研究課題とともに注目し発展させた増幅癌関連遺伝子(TRIM44、YWHAZ)については、胃癌での分子機構と臨床的意義を報告した(Kashimoto K, Komatsu S. et al. Cancer Science 2012, Nishimura Y, Komatsu S. et al. Br J Cancer 2013)。食道癌おいても両遺伝子の分子機構の解明を行う予定である。
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