2013 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌のT細胞不活化経路を標的とした癌治療法の臨床導入を目的とした研究
Project/Area Number |
24791445
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
北東 大督 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70526821)
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Keywords | 肝細胞癌 / HVEM / 腫瘍免疫 / 腫瘍内浸潤リンパ球 / 免疫治療 |
Research Abstract |
ヒト肝細胞癌における臨床検体(パラフィンブロック、及び新鮮凍結標本)を用いて検討を行った。HVEMの発現が予後と有意な逆相関を認めることを確認しており、その機序の解明についての研究を中心に行った。また、臨床データをさらに詳細に検討し、HVEMの発現が肝細胞癌の肝外転移、肝内転移(2年以内の肝内再発)に強く影響を及ぼしていることを確認した。また、たの臨床病理学的因子も含めた多変量解析においてもHVEMの発現は独立した予後不良因子であることも確認した。 ①パラフィンブロックを用いた免疫染色での切除標本において腫瘍内浸潤リンパ球(CD4+、CD8+、CD45RO+)についての検討を行った。その結果、腫瘍内浸潤リンパ球数とHVEMの発現は有意に逆相関が得られた。このことは肝細胞癌にHVEMが発現することで腫瘍免疫にかかわるリンパ球の腫瘍内浸潤が阻害されることを示した。 ②新鮮凍結標本を用いた,Real-time PCRの検討において、腫瘍のHVEMの発現はCD4、CD8、IFNγ、granzymeB、perforinと有意な逆相関を示した。このことは腫瘍のHVEM発現が腫瘍内リンパ球の浸潤、及びリ腫瘍内でのリンパ球の活動性を阻害していることをRNAレベルにおいて示した。 上記の実験から肝細胞癌のHVEMの発現は腫瘍免疫にかかわるリンパ球の活動を阻害することにより、その浸潤、転移に影響を及ぼしている可能性が示された。このことはHVEM経路の阻害は肝細胞癌の再発、転移を抑制する新規治療のターゲットとなりうることを示した。 この成果の論文を作成し、現在投稿中である。
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