2013 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍微小環境におけるIL-17/IL-21axisの解明と新規免疫療法の開発
Project/Area Number |
24791446
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
飯田 武 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (30453187)
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Keywords | 癌 / サイトカイン / IL-17 |
Research Abstract |
胃癌患者における術中腹腔洗浄液においてIL-17mRNAの発現と臨床病理学的因子ならびに予後との関連について検討し、その定量的、臨床的意義について明らかにすることを検討した。胃癌114例を対象に開腹後ダグラス窩より採取した腹腔洗浄液50mlを術中迅速細胞診に提出、残り50mlよりtotal RNAを抽出しcDNAを合成、腹腔洗浄液中におけるIL-17 mRNAの発現をLightCyclerを用いてreal-time RT-PCR法により定量的に評価した。定量値はGAPDH mRNAの発現比にて解析した。腹腔洗浄液中のIL-17 mRNAの発現は腹膜播種陽性例 (n=14) において陰性例 (n=100) より有意に高発現であった (p<0.05)。また、腹腔洗浄液中のIL-17 mRNAは腫瘍の深達度が増すにつれ高発現であった (p<0.05)。予後因子の解析において治癒切除症例 (n=79) における単変量解析ではリンパ節転移陽性、腫瘍浸潤陽性、脈管浸潤陽性、腫瘍径ならびにIL-17 mRNA高発現が予後不良因子であった。多変量解析では腫瘍径ならびにIL-17 mRNA高発現が独立予後不良因子であった (p<0.05, p<0.01)。subgroup解析においてStageI症例ではIL-17 mRNA高発現群、低発現群両群間の予後に差は認めなかったが、StageII,III症例 (n=38) ではIL-17 mRNA高発現群は低発現群より有意に予後良好であった (p<0.05, log-rank test)。また、深達度別の解析ではT1症例においては両群間の予後に差は認めなかったが、T2, T3, T4症例 (n=50) ならびにT4症例 (n=15) での解析において、いずれもIL-17 mRNA高発現群は低発現群より有意に予後良好であった (p<0.05, log-rank test)。胃癌腹腔洗浄液中のIL-17mRNAは腫瘍の増殖・進展に伴い高発現であった。また、進行胃癌患者においてその高発現群は予後良好であり、その臨床的意義として腹腔内環境における抗腫瘍免疫として作用が示唆され、胃癌腹腔洗浄液中のIL-17 mRNAの発現は予後予測因子となりうることが示唆された。
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