2013 Fiscal Year Research-status Report
肺腺癌におけるアロマターゼの発現とその意義についての検討
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24791454
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田中 和美 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (30526843)
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Keywords | 肺腺癌 / アロマターゼ / 女性ホルモン / EGFR遺伝子変異 |
Research Abstract |
昨年度までに得られた肺腺癌におけるアロマターゼ、性ホルモン受容体(ERs,PR),HER2,Ki-67に対する免疫染色の結果と、EGFR,KRAS,BRAF変異解析の結果、更に臨床病理学的因子を元に予後解析を行なった。アロマターゼの発現は染色強度から-,1+,2+,3+の4段階で評価し、-,1+を低発現群、2+,3+を高発現群と定義した。予後調査は基本的には最終受診日の診療記録を元に行なったが、長期に渡り受診されていない患者さんには電話による生存、再発の確認を行なった。予後解析を行うにあたり、外科的に治癒切除を行った症例のみを抽出したところ、現在免疫染色や遺伝子解析が終了している症例のうち150例が該当した。この150例に対し以下のように予後解析を進めた。 1)症例全体での解析:Overall survival (OS)でアロマターゼ高発現群は低発現群に比べ有意に予後不良であった(p=0.039)。Recurrence-free survival (RFS)では明らかな差は認めなかった。 2)EGFR, KRAS遺伝子変異の有無による解析:EGFR野生型群でアロマターゼ高発現群はOS, RFSともに有意に予後不良であった(p=0.005, 0.010)。ERβ発現もRFSにおいて有意に予後不良であった(p=0.031)。EGFR変異型群では予後に有意な差は認めなかった。 3)EGFR野生型肺腺癌の症例における男女別の解析:アロマターゼ高発現群は女性でのみ有意に予後不良であり(RFS:p=0.007)、ERβ発現は男性でのみ予後不良であった(RFS:p=0.051)。 以上から、EGFR野生型群の肺腺癌では、腫瘍内アロマターゼにより産生されたエストロゲンが、ERβを介して腫瘍の発育・進展に関与している可能性が高く、アロマターゼとERβは予後マーカーとして利用できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画書には記載していなかったが、本研究において非常に重要となると判断し、予後調査を徹底して行い予後解析を行った。これについて、非常に有意義な結果が得られたため、この結果についての論文作成を先に行なうこととした。このため、計画書後半部の実験については遅れているが、現在論文については投稿準備中であり、全体としては非常に大きな成果が得られたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの解析で有意義な結果が得られているため、今後はこの結果を学会などで広く発表していきたい。 また、症例数を増やし、同様の解析を継続して行く予定である。 更に、研究費と時間に余裕があれば計画書後半部分に記載した動物実験なども行っていく予定である。 現在までに得られている結果は、肺腺癌におけるアロマターゼ阻害剤の臨床応用の可能性を強く示唆するものであり、今後この可能性の裏付けとなる研究を続けることは非常に有意義であると考えられる。
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