2013 Fiscal Year Annual Research Report
慢性虚血心におけるエリスロポエチン投与下大網充填術による新たなる外科治療の確立
Project/Area Number |
24791457
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
石田 成吏洋 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (90397331)
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Keywords | 重症冠動脈疾患 / エリスロポエチン / 大網充填術 / 慢性虚血心 |
Research Abstract |
本研究は従来の治療法である冠動脈バイパス術や経カテーテル的冠動脈形成術では血行再建が困難なび慢性冠動脈狭窄を有する重症冠動脈疾患症例に対する新たな外科的血行再建術を実験で検証するため、ウサギ慢性虚血心モデを用いて、大網充填術及びエリスロポエチン併用投与が心機能改善を果たすか否かを検討し、そのメカニズムを解明することをその目的とした。 昨年度はメカニズムの解明の一手段として、まずはエリスロポエチン単独投与による心不全改善効果の有無を検討した。ラットを用いて肺切除後肺高血圧による二次性うっ血性右心不全モデルを作成し、無治療群(N群)とエリスロポエチン皮下投与群(E群)の二群に群分けして、二群間の慢性期右心不全について心重量、右室心筋細胞の短径、右室重量を検討項目として評価した。心重量は二群間に有意差は認めなかったが、右室肥大評価はN群に対しE群では有意に改善し、右室壁重量もE群ではN群と比較して有意に改善した。エリスロポエチン単独投与により、慢性心不全の改善効果がある事が示唆された。 本年度は更に大網充填術施行群を追加し、無治療群、大網充填術単独群、エリスロポエチン単独投与群、大網充填術及びエリスロポエチン併用投与群において心機能を評価した。また、大網充填術単独群及びエリスロポエチン単独投与群と比較して、併用群が更なる心機能改善効果があるか否かを検討した。大網充填術及びエリスロポエチン併用投与群はエリスロポエチン単独投与群との比較において、心重量、左室心筋細胞の短径、左室重量は有意な改善が認められなかった。結果として、大網充填術及びエリスロポエチン併用投与療法は、慢性虚血心の心機能改善には効果が得られない可能性が示唆された。
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