2014 Fiscal Year Annual Research Report
ウサギの脊髄局所冷却による脊髄保護効果とオートファジーの関連についての検討
Project/Area Number |
24791465
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 智 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80621383)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脊髄虚血 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄虚血による対麻痺は、下行大動脈瘤や胸腹部大動脈瘤手術時の合併症として最大20%の頻度で認められ、術後の患者のQOLを考える上で非常に大きな問題となっている。これまでにも、脊髄保護目的に様々な薬物療法や低温療法、脊髄ドレナージ法が臨床応用されてきたが、いまだ確立された脊髄保護法はない。一方で、診断技術の進歩、高齢化の進行、活様式の欧米化等により、大動脈瘤の患者は確実に増加しており、手術成績向上のために、脊髄虚血による対麻痺の進展に関するメカニズムの解明や、その予防法の確立に対する重要性は増している。 過去の報告によるとウサギの一過性脊髄虚血モデルにおいて遅発性の運動神経細胞死が生じることが報告されている。この運動神経細胞死に関してはヒートショックプロテインや小胞体ストレス、オートファジー関連タンパクの関与が示されている。 本研究の目的は、前述のウサギの脊髄虚血モデルおよび脊髄冷却モデルを用い、脊髄虚血後の運動神経細胞死におけるオートファジー関連タンパク質の関わりと、冷却における脊髄保護のメカニズムの一部を解明することである。 本研究では最終的に細胞死をきたす運動神経細胞内において、オートファジー関連タンパク質(Bcl-2, Beclin-1, GABARAP)が誘導されることが証明された。また、一過性脊髄虚血により運動ニューロン内で誘導される遅発性運動神経細胞死において、オートファジーが関与していることが示唆された。生存する運動神経細胞内においては、オートファジーを抑制的に制御するBcl-2の発言増強が遷延することが証明された。
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