2013 Fiscal Year Annual Research Report
悪性胸膜中皮腫に対する次世代型内視鏡(複合型光ファイバー)治療
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24791473
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Research Institution | 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所) |
Principal Investigator |
今井 健太郎 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, その他 (30408140)
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Keywords | 悪性胸膜中皮腫 / 光線力学的治療 / 複合型光ファイバー |
Research Abstract |
悪性胸膜中皮腫に対する標準治療は確立されておらず、予後不良の疾患である。手術、化学療法、放射線治療といった集学的治療として臨床試験が施行されてきたが、我が国ではfeasibleな治療法でないことが示唆されている。我々は、難治性固形がんである悪性胸膜中皮腫に対する新たな治療戦略として、局所療法である光線力学的治療(Photodynamic therapy)を極細径ファイバーを利用して、手術で切除困難である肋骨横隔膜角等の極小部に十分な抗腫瘍効果を得られるか否かを検証することとした。1mm径の極細径ファイバー(複合型光ファイバー)は、内視鏡カメラ及びレーザー照射が可能な次世代内視鏡であり、今後臨床応用が大変期待されている。我々はクラウンミニブタ(15kg 雌)を使用して、全身麻酔下に第二世代の腫瘍親和性光感受性物質であるレザフィリンを静脈注射(10mg/kg)した直後に、ブタの胸壁に3cm程度の小切開を加えポート孔を作成し、肋骨横隔膜角等の極小部へPDTを施行した。比較試験の為、従来のダイオードレーザーを気管支鏡をガイドに挿入し肋骨横隔膜角へ照射(100J/cm2 150mW)し、PDT施行7日後にブタの壁側胸膜及び横隔膜を摘出した。病理組織検査では照射した横隔膜及び胸壁の狭小部分に壊死組織が認められた。さらに1mm径の極細径ファイバーでも同様の実験を行ったところ、病理検査で従来のダイオードレーザーと同等の効果を認めた。 両者において極小部への照射後7日で、ブタに大きな副作用はなく、肺や腹腔内臓器への影響も無かったため、比較的安全に行える手技であることが確認出来た。 横隔膜付近は呼吸性変動が大きく、僅かな胸郭の動きで臓器にファイバー先端が接触し、血液等の付着でレーザーの出力が落ちてしまうことも考えられたが、今後、悪性胸膜中皮腫の集学的治療の一つとして大いに期待出来ると思われた。
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