2012 Fiscal Year Research-status Report
脊髄神経膠腫に対するCEDをもちいた新しい治療法の開発
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24791483
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 俊毅 東北大学, 大学病院, 助教 (00535370)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 脊髄腫瘍 |
Research Abstract |
当該年度;研究計画のうち、下記を実施し成果を得た。 1. 健常ラットを用いて、抗腫瘍薬ACNUの脊髄へのConvection Enhanced Delivery(CED)法。薬剤送達における安全性ならびに薬剤の分布をふくめた動態についての検討:健常ラットを用いて、脊髄における薬剤分布における実験を行った.T9レベル脊髄より、Evans blueを毎分0.2 ul、10分間脊髄髄内に注入した。脊髄の注入部位、深さをかえることで、脊髄白質と灰白質に別々に薬剤の注入が可能であった。この結果を比較したところ、白質と灰白質の組成あるいは硬さ、細胞間隙量の違いにより薬剤分布が異なるという新しい知見が得られた(英文紙発表予定)。この成果により、脊髄腫瘍の主座が白質にある場合と灰白質にある場合は、CED法の薬剤送達動態が異なることが新たに示され、意義深い。さらにACNUの安全性に検討し、手技をふくめ安全である事を確認した。ACNU濃度が2.0ml/m出会った場合、正常脊髄組織への組織毒性が確認された。そこで組織毒性のない、最大限のACNU濃度を1.0ml/mLとさだめ、次年度以降の実験を継続する予定である。 2. 脊髄神経膠腫モデルラットの作成:ラットグリオーマ細胞9L、F98を脊髄T9レベルに接種した。それぞれの細胞で、5ul内に10万個の細胞を含むように調整した。これをHamilton シリンジをもちいて脊髄髄内に注入した。現在までにそれぞれの群で5匹ずつの腫瘍細胞モデルを作成した。ラットの体重増加率、さらには下肢の運動機能をBBBスコアをもちいて判定し、それを継続している。しかし、現時点での脊髄への細胞生着率が低く、また、腫瘍となった場合の腫瘍増殖スピードも緩やかである。次年度、モデルの作成についてさらに実験を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
下記にある(1)-(4)までの実験項目(計画)のうち、H24年度に1と2をH25年度に3以降を行う予定であったが、現時点での研究到達度が(2)の中途であるため。 1) 健常ラットを用いて、抗腫瘍薬ACNUの脊髄へのCED法薬剤送達における安全性ならびに薬剤の分布をふくめた動態について検討する。 2)脊髄神経膠腫モデルラットを作成する。これはラットグリオーマ細胞9L、F98を脊髄の腰膨大部に接種することで行う。 3)脊髄神経膠腫ラットモデルにおける、ACNU-CED法単独の治療効果の検討、ならびにテモゾロミド全身投与と脊髄ACNU-CED法の比較。そして、テモゾロミドの全身投与と脊髄ACNU-CED法の相乗効果の検討。以上それぞれの治療効果を下肢運動機能、腫瘍体積を用いて比較する。 4) ACNU-CED法、テモゾロミド全身投与の抗腫瘍効果を確認後、組織学的検討をおこない、ACNU-CEDならびにテモゾロミドの抗腫瘍効果について考察する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方法:研究計画の3、4に重点をおいて進めていくこととなる。 3)脊髄神経膠腫ラットモデルにおける、ACNU-CED法単独の治療効果の検討、ならびにテモゾロミド全身投与と脊髄ACNU-CED法の比較。そして、テモゾロミドの全身投与と脊髄ACNU-CED法の相乗効果の検討。以上それぞれの治療効果を下肢運動機能、腫瘍体積を用いて比較する。4) ACNU-CED法、テモゾロミド全身投与の抗腫瘍効果を確認後、組織学的検討をおこない、ACNU-CEDならびにテモゾロミドの抗腫瘍効果について考察する。 そのために、現在すすめているラット脊髄腫瘍モデルの作成の確立をいそぎ、行っていく。9L、F98の2つのモデルを作成し同時進行で下記の実験をすすめていくと計画していたが、もし時間の制約もあり、難しいようであれば、先日発表された先行論文(Hsu W, et al., J Neurosurg Spine 16:315–319, 2012)に順じ、CEDにおける薬剤送達により適したモデルであると推察されるF98を使用して次年度の実験をするめることも考慮したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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