2014 Fiscal Year Annual Research Report
ラットにおけるアンギオテンシンⅡ遺伝子ワクチンを用いた脳梗塞新規治療法の開発
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24791487
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若山 幸示 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50349263)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳血管障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度の研究結果からワクチン接種での梗塞縮小効果は抗体価6000(OD 50%)以上の個体で発揮されることが明らかとなったが、本年度はAngiotensin II (Ang II) 特異抗体の動態を調べ、脳梗塞保護効果の作用機序の解明をめざした。梗塞24時間後の組織を用い抗Ang II抗体の脳実質移行性を、ELISAによる抗Ang II抗体価の吸光度の梗塞側/健常側の比(脳実質抗体価比)を求めることにより定量化を試みた。血清抗Ang II抗体価高値群(抗体価6000以上)では、脳実質梗塞側半球への抗Ang II抗体移行性が有意に高く (脳実質抗体価比:低抗体価群1±0.03, 高抗体価群2.03±0.34, P<0.05)、抗Ang II抗体が脳梗塞後、血液脳関門(BBB)の破壊に伴い脳梗塞組織に移行すると考えられた。次にワクチン接種による全身、局所のレニンアンギオテンシン系(RAS)への影響を調べた。ワクチン治療群ではコントロール群(生理食塩水投与)に比し、血清Ang IIレベルの有意な増加をみとめた。抗Ang II抗体結合によりAng II生理活性が抑制された結果、フィードバックが生じたことによるものと考えられた。次に脳梗塞組織における組織Ang II濃度、組織Ang II 1型受容体(AT1R)などのRASコンポーネントの発現を検討し、脳組織RASへのワクチン接種の作用を調べた。梗塞12時間後にワクチン治療群ではコントロール群に比較し、脳実質Ang II濃度が有意に高く、ワクチンの血清Ang II濃度への作用と類似する現象と考えられた。また脳梗塞組織(24時間)でのAT1Rの遺伝子発現を検討した結果、コントロール群に比較してAng IIワクチン接種群ではAT1Rの有意な発現抑制が認められた。以上よりAng IIワクチン接種による急性期脳梗塞での脳保護作用は、脳梗塞でBBBが破壊され抗Ang II抗体が梗塞組織に移行、脳組織Ang IIに結合し、脳組織RAS活性が抑制されることで発揮されると考えられた。
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Research Products
(1 results)