2013 Fiscal Year Annual Research Report
GSK3βを分子標的とする悪性グリオーマ治療の基礎基盤の構築
Project/Area Number |
24791491
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮下 勝吉 金沢大学, 医学系, 助教 (80624874)
|
Keywords | グリオブラストーマ |
Research Abstract |
1. 申請者らの教室で構築されたマウス脳腫瘍モデル (Proc Natl Acad Sci U S A. 2009) を用い、至適薬剤量をもとに四種類のGSK3β阻害医薬品をそれぞれ単剤投与した。投与マウス腫瘍ではGSK3βの基質である GS (glycogen synthase)のリン酸化が低下しており、in vivoでのGSK3β阻害効果を確認した。また、それぞれの薬剤で種々の程度に細胞浸潤が抑制された(論文作成中)。 2. 神経膠芽腫細胞株4種に対し、GSK3b小分子阻害剤(AR-A014418)を使用したところ、 methylation specific PCRアッセイでMGMTプロモーターのメチル化が促進されていた。また、下流に位置するc-Mycに注目し、MGMTプロモーターへの結合をクロマチン免疫沈降法で測定したところ、c-MycはDNA(cytosine-5)-methyltransferase 3Aを誘導しMGMTプロモーターに結合し、プロモーターのメチル化を促進していた。これらの結果から、GSK3β阻害によるtemozolomide感受性の亢進のメカニズムが、c-Mycを介したMGMTプロモーターメチル化であることを証明した(Carcinogenesis 2013)。 3.これまでの基礎研究結果を受けて、トランスレイショナルリサーチとして、学内倫理委員会の承認を得て「GSK3β阻害作用を有する薬品を使用した悪性グリオーマの化学療法」と題する小規模第I/II相臨床試験を開始し、現在までに8例に施行した(倫理委員会課題番号774、特開2012-41314)。その解析結果については、複数の学会で報告している。
|