2012 Fiscal Year Research-status Report
悪性神経膠腫幹細胞及びnicheを標的とした新規分子標的治療の試み
Project/Area Number |
24791499
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木嶋 教行 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任研究員 (80534627)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | グリオーマ幹細胞 / 幹細胞niche / ALCAM |
Research Abstract |
我々は悪性神経膠腫におけるCD166/Activated leukocyte cell adhesion molecule(ALCAM)という分子が腫瘍血管新生に関与していることを実証するために以下の方法で実験を進めている。方法としてはまず悪性神経膠腫細胞株U87MG及びU251を用いALCAM knock down細胞株を作成した。これらの培養上清を用いin vitroでHuvec細胞株を用いたtube formation assayを行い、血管新生の相違についての検討を行った。その結果U87MG及びU251のALCAM knock down株から採取した培養上清はcontrol細胞から採取した培養上清と比してHuvecのtube formationを抑制していた。さらに免疫不全new-bornマウスへの投与を行い、in vivoでの腫瘍内血管の相違について検討も行った。その結果U87MG ALCAM knock down株及びcontrol株を免疫不全マウスへ投与すると、形成された腫瘍内のmicrovascular densityでは有意な差は認めなかったが、切片当たりの血管面積及び1血管当たりの血管径はALCAM knock down株で著明に抑制されていた。またcontrol細胞とknock down細胞におけるVEGFの発現をwestern blotting、培養上清でのcytokine arrayで検討すると、VEGFの発現には明らかな差は認めなかったが、血管新生に関わるcytokineであるinterleukin8の分泌に差が認められた。これらの結果よりALCAMはInterleukin8の分泌の制御を介して腫瘍血管新生に関わる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
悪性神経膠腫において腫瘍幹細胞は血管周囲のperivascular nischeに存在していることが示唆されている。我々は以前ALCAMという分子が悪性神経膠腫幹細胞を濃縮するマーカーの一つである可能性を報告したが、このALCAMという分子が腫瘍血管新生に関与する分子であることを見出したことで、ALCAMという分子が悪性神経膠腫幹細胞nischeにおいて何らかの役割を有している可能性が高くなったと考えられる。その意味で昨年度の研究成果は大きな意味を持ち、本年度の更なる研究への基盤になると思われる。よって本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の実験成果を踏まえて、本年度は計画書に記載した続きの実験を行う予定である。本年度は血管内皮細胞においてもALCAM knock downの細胞を作成し、それらが悪性神経膠腫幹細胞の維持に関わっているかの検討を行う。さらにALCAMもしくはその分泌型のisoformであるsoluble ALCAMが治療標的になりうるかについての検討を行う予定である。soluble ALCAMには市販されているblocking antibodyが存在せず、soluble ALCAMが治療標的となることを示すために、まずはblocking antibodyの作成を行う予定である。 その後sALCAMに対する抗体及びALCAMのblocking antibodyを用いてin vitro及び in vivoでの検討を行い、sALCAM及びALCAMが治療標的となりうるかについて検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は細胞培養関連試薬、FACS関連試薬、免疫組織染色関連試薬、細胞購入費 動物実験関連、DNA,RNA関連試薬、パソコン関連消耗品の購入に使用する予定である。また今後の研究の方向性を検討するために、これまでの研究成果を学術集会にて積極的に発表する予定であり、そのための経費にも研究費を使用する予定である。
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