2012 Fiscal Year Research-status Report
網羅的遺伝子発現解析による脳血管攣縮発症メカニズムの解明とバイオマーカーの探索
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24791510
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉川 雄一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (80423515)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロアレイ / 脳血管攣縮 / くも膜下出血 / 脳底動脈 |
Research Abstract |
1)ウサギSAHモデルより脳底動脈を摘出し、マイクロアレイによるSAH発症後の経時的な遺伝子発現解析を行った。未発症モデルと比較し、SAH発症後3日目には全43,623 probe中 868 probeが, 5, 7日目にはそれぞれ603, 464 probeが有意に発現変動していることが明らかとなった。また、全43,623 probe中、1,121 probeがいずれかのtime pointで有意な発現変動を呈していた。これらの遺伝子の発現パターンを解析すると、発症3日目に著しく変動し、時間経過とともに収束していくということが明らかになった。以上の結果から、SAH血後、脳血管に発現する全遺伝子の約3%程度の遺伝子の発現が有意に変動し、これらの遺伝子がSAH発症後の脳血管反応性の亢進に寄与している可能性が示唆された。 2)超高解像度256列MDCTを用いて、ウサギSAHモデルの脳底動脈血管径の経時的推移を評価した。本実験では耳介静脈より造影剤を注入しCT angiographyを行った。標準モードでは描出不良であったが、超高解像度モードにおいてウサギ脳底動脈は周囲の構造物より分離でき、全長にわたっての描出が可能であった。また、脳血管攣縮期においても、脳底動脈は描出可能であった。顕微鏡下の観察において、我々のモデルではSAH発症後5日目を極期とする脳血管攣縮を確認している。超高解像度モードで撮影した画像を用いてSAH発症後の脳底動脈の断面積を経時的に計測したところ、同様の推移を捉えることができた。以上の結果から、超高解像度256列MDCTによるウサギ脳血管径の評価は、同一個体を経時的評価でき、かつ簡便であることからウサギSAHモデルの血管径評価の有用な評価方法の一つと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の当初の研究予定内容を一通り終了しており、研究はおおむね順調に進展していると考える。 1)SAH後の脳血管における発現遺伝子の網羅的発現解析、2)高解像度多列CTアンギオグラフィを用いたウサギ脳血管攣縮評価
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り研究は遂行されており、現時点で研究計画の変更の必要性や、研究遂行上の問題点はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の結果をもとに、次年度は、発現遺伝子の生物学的機能解析、脳血管の平滑筋収縮性増大機構に関与する分子のスクリーニング、候補分子の発現機序および平滑筋収縮機構における役割の解明、脳血管攣縮発症に関するバイオマーカーの探索、を行う予定としている。したがって、これらに次年度の研究費を使用する予定である。
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Research Products
(9 results)