2013 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的遺伝子発現解析による脳血管攣縮発症メカニズムの解明とバイオマーカーの探索
Project/Area Number |
24791510
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉川 雄一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (80423515)
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Keywords | Cerebral vasospasm / Subarachnoid hemorrhage / Microarray / Gene expression / CT angiography |
Research Abstract |
目的:くも膜下出血(SAH)発症後、脳血管攣縮を代表とする脳血管に生じる変化の分子機序は未解明である。本研究ではウサギSAHモデルの脳血管における経時的な遺伝子発現解析および発現変動遺伝子群のバイオインフォマティクス解析を行う。 方法:ウサギ2回出血SAHモデルを作成し、SAH発症前、day 3, day 5 そしてday 7に超高解像度MDCTを用いてCT angiographyを行い脳血管攣縮を評価した。また、SAH発症後、3, 5, 7日目にウサギ脳底動脈を摘出し、rabbit オリゴ DNA マイクロアレイを用いて経時的な遺伝子発現解析を行った。得られた結果をIngenuity Pathway Analysis (IPA)で解析した。 結果:CT angiographyの結果、SAH発症後、3日目より有意な狭窄を認め、5日目を極期とする脳血管攣縮が生じていることが明らかになった。rabbit オリゴ DNA マイクロアレイの結果、43,623 geneのうち、1,121geneが少なくとも1 time pointで有意な発現変動を生じていた。SAH発症3日目において数および発現比、発現パターンが最も著しく変化していた。一方で、脳血管攣縮はSAH発症5日目で極期を迎えていた。IPAを用いた発現変動遺伝子解析の結果、25 のbiological functionカテゴリーが有意に上昇していた。 結論:マイクロアレイ解析に基づき遺伝子発現およびそれらの遺伝子の担う機能的役割に関して検討を行った。これらの結果は、くも膜下出血発症後に脳血管に生じる脳血管攣縮を代表とする種々の病態のメカニズムを解明する基盤となりうると考えられる。今後、さらに脳血管攣縮の病態の鍵となる遺伝子の抽出と解析を行うことで、くも膜下出血後の脳血管における病態変化を詳細にとらえることができると考えられる。
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Research Products
(13 results)