2013 Fiscal Year Research-status Report
長寿遺伝子サーチュイン制御による脳腫瘍治療の新展開
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24791513
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉野 寿哉 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80596164)
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Keywords | SIRT1 / 脳腫瘍 |
Research Abstract |
(1)臨床サンプルの検討 当科で手術された患者検体をもとに、cell lineの確立を行った。新たに3例でcell lineを確立することができた。分化後についてもSIRT1の発現を調べたが、分化前同様SIRT1の発現を認めた。 また悪性グリオーマ以外の腫瘍についてもSIRT1発現について検討した。近年血管新生にSIRT1の働きが注目されているため、手術検体を用いて血管芽細胞腫について免疫染色を行った。SIRT1は腫瘍細胞全体に強く発現していることが判明した。またcyst形成についてp53、PTEN、myc、mTORの関与が示唆されており、cyst形成に差異が生じている結果だった。PTENとSIRT1は相互作用があり、cyst形成との関連を検討中である。 (2)グリオーマ細胞死の解明 クロロキンは抗マラリア剤の1つであるが、オートファジーを阻害する効果があり、細胞死との関連が示唆されている。そこでグリオーマ細胞株、ヒトグリオーマ細胞を用いてテモゾロミドにクロロキン併用による効果を検討した。するとテモゾロミド単独に比べクロロキン併用した場合細胞死が増強されることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物へ移植して治療をおこなうという目標に到達することができなかった。現在、動物モデルの作成を準備している。SIRT1結合蛋白質、転写調節を受ける蛋白の同定が困難であり、時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
抗マラリア剤であるクロロキンとテモゾロミド併用により腫瘍細胞死効果が期待できることが判明した。クロロキンはヒトに治療として用いられており、脳腫瘍細胞を移植した動物モデルでの検討を加えたあと、人への臨床応用を目指した取り組みを展開していきたい。SIRT1の高発現が腫瘍の悪性度を反映する可能性があり、現在予後との関連を検討している。悪性度が高いほど、SIRT1阻害による腫瘍細胞増殖抑制効果も高くなる可能性がある。 今後は分子メカニズムを明らかにし、その分子をターゲットにする治療戦略を計画したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
札幌医科大学から京都大学への所属異動に伴い、実験環境が変化したため前年度に行っていた実験ができなかった。そのため購入しなければならない試薬や必要物品が減少したため。 次年度は札幌医科大学へ異動となり、前年度同様の実験が可能となることが予想される。前年度行うことができなかった実験を行う予定であり、次年度使用額が必要になると考えている。
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