2014 Fiscal Year Annual Research Report
長寿遺伝子サーチュイン制御による脳腫瘍治療の新展開
Project/Area Number |
24791513
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
杉野 寿哉 札幌医科大学, 医学部, 助教 (80596164)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | SIRT1 / グリオーマ / 腫瘍幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
摘出した手術検体からグリオーマ幹様細胞を培養し、さらに細胞移動および浸潤モデルを作成するのに時間を要したため、他の腫瘍においてもSIRT1の発現、機能について検討した。 (1)これまではglioma cell lineを使って研究をしていたが、手術検体から分離、培養したヒトグリオーマ幹様細胞を用い、SIRT1の細胞内局在、細胞移動および浸潤について研究した。分化させたヒトグリオーマ細胞では、C6 glioma細胞と同様、SIRT1が細胞質に発現していた。SIRT1阻害薬で細胞移動が抑制されたため、SIRT1-siRNAをノックダウンすると細胞移動や突起伸展が阻害されることがわかった。この結果からグリオーマ細胞においてSIRT1が細胞移動に関与していることが示唆された。 (2)昨年血管系腫瘍である頭蓋内血管芽腫に対してSIRT1の発現を調べ、血管芽腫でもSIRT1が高頻度に発現していることを見出した。遺伝性疾患であるVHL症例において血管芽腫を高頻度に発症するため、VHL症例とnon-VHL症例で検討したが、現時点ではSIRT1関連分子での差異を明らかにできなかった。 (3)転移しやすい腫瘍であるメラノーマ細胞を用いて細胞浸潤について検討した。メラノーマ細胞では細胞質優位にSIRT1が発現しており、細胞移動に重要な役割をもつlamellipodiaのleading edgeにSIRT1が発現していた。SIRT1阻害薬やSIRT1をノックダウンすると、細胞移動や突起伸展が阻害され、細胞移動刺激でlamellipodiaの伸展が抑制された。SIRT1ノックダウン細胞をマウスに移植し、転移について検討したところ、コントロールに比べ他臓器転移が減少していた。
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