2012 Fiscal Year Research-status Report
本邦における脳静脈血栓症の実態調査と診断・治療指針策定に関する研究
Project/Area Number |
24791521
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
尾原 知行 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (20616388)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳静脈血栓症 |
Research Abstract |
本年度は脳静脈血栓症の自験10例の患者背景、臨床症状、原因、画像所見、治療、臨床転帰を検討し、以下のような結果が示された。①原因疾患として欧米の大規模前向き研究で報告されている先天性凝固異常、経口避妊薬などの原因が少なかった。②脳静脈血栓症の早期診断において、MRIT2*画像での静脈洞の異常信号の検出の有用性が再確認された。③全例抗凝固療法で治療を行ったが、脳出血例において治療難渋例を多く認めた。④転帰良好例は欧米の研究と比較しても多く、その理由として本邦の特徴である日常臨床におけるMRIの普及による脳静脈血栓症の早期診断が寄与していると推測された。本研究結果は論文化し、「脳卒中」35巻3号(2013年)に掲載が決まった。これまで本邦においては、特異な脳静脈血栓症例での症例報告は散見されるものの日常臨床で遭遇する脳静脈血栓症の連続例での報告はほとんどなかった。本研究は、本邦での脳静脈血栓症の実態を検討するうえでの布石となる研究になると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先述したように本邦において脳静脈血栓症に関する連続例の報告はほとんどない。研究計画に示した脳静脈血栓症に関する多施設でのアンケート、後ろ向き研究の前に、本邦での脳静脈血栓症のある程度の実態を全国の臨床家に示す必要があると考え、10例と少数ではあるが自験連続例の検討結果の論文化を本年度はすすめた。それにより本年度はもともとの計画が進まなかった。次年度以降この結果をふまえて、今後の研究計画を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は脳静脈血栓症の診療に関する多施設でのアンケート調査、後ろ向き研究を実施予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は研究が計画通りに進まなかったため、残金が発生した。 次年度は上記研究遂行のための資料作成、郵送、データベース作成管理に相当額を要する。また研究成果の公表のための旅費、論文作成費用などを必要とする。
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