2012 Fiscal Year Research-status Report
緻密質、多孔質ポリウレタンを組み合わせた新しい骨欠損補填材料の開発
Project/Area Number |
24791526
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉井 俊貴 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50583754)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ポリウレタン / 人工材料 / 骨再生 |
Research Abstract |
吸収性人工材料ポリウレタン(PUR)は組織工学における足場材料として研究されており、心血管再生、神経再生、皮膚再生領域などでPURの足場材料としての有用性が示されている。多孔質PUR scaffoldは連通性多孔質構造を有し組織侵入に優れ、生体吸収性であり、また適度な弾性を有することから組織欠損部での適合性に優れる。また重合前、resin componentに薬剤を付加することで、足場材料としてだけではなく、薬剤担体としても使用することが可能である。 このように多孔質PURは組織再生の足場材料として非常に有用であるが、一方で多孔体であるが故に圧縮強度は低く、荷重部での単独使用には適さないと考えられる。そこで応募者らはPUR重合前に resin componentに同種骨などのsolid fillerを加えることで、力学的強度を向上させられることを確認した。PURに同種骨を高重量%加えた緻密質PURは力学的強度に優れ、in vivoの移植実験で良好な骨伝導性を示した。次に同種骨の使用は本邦では普及していない背景を勘案し、同種骨ではなく生体骨の主要成分であるハイドロキシアパタイト(HA)を高重量%使用する方法(PUR-HA)を考案し、その力学的特性、In vitroでの骨伝導性を検証した。In vitroでの力学試験では、70%、79%の重量%のハイドロキシアパタイト、三リン酸(TCP)を付加させ、良好な力学強度を得た。また骨芽細胞前駆細胞をインプラント上で培養、分化させ、良好な細胞増殖、骨分化がおこることを確認した。強度に関しては、ハイドロキシアパタイト付加PURが優れ、In vitroでの骨分化に関してはTCP付加PURが優れることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は新しいポリウレタン人工材料のFormulationを開発し、(ハイドロキシアパタイト(HA)を高重量%使用する方法)、その力学的特性、In vitroでの骨伝導性を検証した。その結果、良好な力学強度、骨伝導性をIn vitroで確認した。 研究計画では、さらに小動物を使用した移植実験(ラット)にてin vivoでのbiocompatibility、骨伝導性、吸収性を検討する予定であるが、In vivoでのラットへの移植実験もすでに行っており、現在、解析中である。これらから、比較的、順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在おこなっている、In vivoラット大腿骨移植実験にて、ハイドロキシアパタイト付加PUR(PUR-HA)のin vivoでの生物学的特性、生体親和性、吸収性を評価する。具体的にはPUR- HAをplug defectに移植後、2、4、8週にて摘出。micro CTにてインプラント周囲の新生骨量、インプラントの吸収性を経時的に評価する。また摘出検体の脱灰組織切片を作製し、HE染色にて新生骨量を評価、TRAP染色にてインプラント吸収に関与する破骨細胞活性についても経時的に検証する。 またその後、中空構造のPUR-HAを作製し、力学的強度の検討、構造の最適化を行う。さらに中空構造に多孔質PURを付加した緻密質多孔質ハイブリッドPURを作成し、in vitroでの力学的特性、分解特性を検討する。 これらを踏まえて、In vivoでの骨伝導性、組織再生における有用性の検討を小動物(ラット大腿骨骨欠損モデル)にて行う。具体的には荷重負荷のかかるラット大腿骨critical-sized segmental 欠損model(6mm)にてin vivoでの骨形成能の評価をおこなう。移植後4週、8週、12週に設定しラットをsacrifice、sampleを摘出する。摘出標本はmicroCT、組織学的評価を行う。また小動物でうまくいった場合、改めて中動物(ウサギ)を使用した移植実験にて、より臨床に近い形でハイブリッドPURのの骨再生における有用性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のように本年度はIn vivo動物実験を中心とした実験計画を立てており、インプラント作成、滅菌に加え、動物移植実験に必要な経費(動物購入、飼育にかかる諸経費、消耗品、手術器具、固定器具、マイクロCTや組織切片作成に伴う諸経費が必要となる見込みである。また初年度の実験から得られた研究成果の発表などにも経費が必要となる見込みである。 ただし、本学動物実験施設が7月より大幅改修を行う予定で、それに伴い、一時、動物実験を中断することが余儀なくされる可能性がある。その場合、申請を行い、1年、研究期間を延長し、改修が終わり次第、追加で必要なIn vivo動物実験を行うことを検討している。
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