2013 Fiscal Year Annual Research Report
自己脂肪由来幹細胞移植による骨再生促進とそのメカニズムの解析
Project/Area Number |
24791529
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
渡邊 孝治 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (90584839)
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Keywords | 自己脂肪由来幹細胞 / 体性幹細胞 / 骨再生 / 骨延長 / 骨成熟促進 |
Research Abstract |
【目的】骨延長法は長期の治療期間を必要とするため,延長部骨形成を促進する手法の開発が期待されている.脂肪組織から容易に得られる細胞集団であるAdipose-derived regenerative cells(以下ADRCs)は,多分化能を有する脂肪由来幹細胞を多く含む幹細胞移植材として注目されている. 私たちはこの技術に着目し,ADRCsが骨延長部の骨成熟を促進すると仮説を立てた.本研究の目的は、骨延長部にADRCs移植を行い,骨延長部における骨成熟の促進について検討、評価を行うことである. 【方法】Wister系ラット(週齢9~11週)の大腿骨に創外固定器を設置し,8日後から1日0.8mmの速度で骨延長を8日間行った.延長終了時にラットの鼠径部から脂肪を採取し,加工して得たADRCsをコラーゲンゲルに包含して延長仮骨内に経皮的に注入した.生理食塩水注入モデルとコラーゲンゲル注入モデルを作成し比較した. 【結果】ADRCs移植群の延長部平均骨塩量は,移植後3,4,6週で他群と比較し有意に高値であった(p<0.05).組織学的にはADRCs移植群で延長部骨梁形成が促進した.3点曲げ試験では,移植後4,6週でADRCs移植群で有意に高い最大点応力が得られた. ADRC群の延長仮骨はBMP-2,VEGFA,SDF-1のmRNAの発現が有意に高値であった(p<0.05).DiIで蛍光標識したADRCは移植後2週で新生骨に生着しており,骨組織への分化が示唆された. 【結論】ADRCs移植は延長仮骨の成熟を促進し,骨硬化の時間を短縮した.その機序としては,細胞の骨組織への分化が示唆され、またBMP-2やVEGFA等液性因子の増加が骨形成と血管新生を促進したと考える.ADRCsは骨髄由来間質細胞と比較し,細胞の採取が簡便かつ大量に可能である.移植に際し培養を必要とせず,感染や免疫反応の危険が低く安全性が高いため,早期の臨床応用が可能であると考える.
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Research Products
(5 results)