2014 Fiscal Year Annual Research Report
腱細胞培養系の樹立と腱細胞分化における新規マイクロRNAの同定
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24791532
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊坪 敏郎 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (90467168)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 腱細胞 / GDF8 / 筋芽細胞株 / miRNA / 標的遺伝子 / Smad / Tppp3 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は前年度までに確立したマウス筋芽細胞株(C2C12)を腱細胞へ分化誘導する培養系を用いて腱細胞の分化に重要なシグナル伝達経路の解析および腱細胞分化に特異的なマイクロRNA(miRNA)の絞り込みとその標的遺伝子の同定を行った. これまでのシグナル伝達経路の阻害剤を用いた実験の結果,GDF8による腱細胞分化誘導の際にALK-smad2/3シグナルが関与していることが示唆されたことから,Smad2,3のどちらがより腱細胞分化に関わっているかを調べる目的で,Smad2,3に特異的なsiRNAを用いてそれぞれのシグナル伝達因子を選択的に抑制し,その影響を調べた.しかし,いずれの因子の抑制においても,阻害剤で得られたような明らかな分化への影響を観察できなかった.原因としてsiRNAの抑制効果が短かったことなどが考えられるが,トランスフェクションのタイミングなどについては引き続き条件の検討が必要である.またshRNAを用いた持続的な抑制や強発現による腱細胞分化への影響などについても現在予備実験を行っている. 本培養系を用いたマイクロアレイのデータ解析では,miR-214とmiR-322を含む計8つのmiRNAの発現が分化誘導後に増加している事が確認され,さらにデータベース上での標的遺伝子の解析により,miR-214とmiR-322それぞれの標的遺伝子候補としてSmad7, Tubulin polymerization-promoting protein 3 (Tppp3)が検出された.リアルタイムPCRによる分化誘導前後でのmiRNAと標的遺伝子の発現解析では,Smad7, Tppp3いずれも分化に伴いmRNAレベルでの発現が低下したが,GDF8の添加の有無では発現量に差を認めなかった.またmiR-214についてはGDF8添加時により発現が促進されることが確認された.標的遺伝子の蛋白レベルでの発現量の評価,miRNAの前駆体や特異的インヒビターを用いた実験およびレポーターアッセイについては現在予備実験の段階である.
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