2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞外マトリックス制御による骨軟部肉腫の分子標的治療薬増感法の開発
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24791533
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浦川 浩 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60584753)
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Keywords | 骨軟部肉腫 / 細胞外マトリックス / ヒアルロン酸 |
Research Abstract |
骨軟部肉腫の細胞外マトリックス・細胞膜上受容体・細胞内シグナル伝達のネットワーク抑制の作用を明らかにするために、骨由来の肉腫であるラット軟骨肉腫細胞セルラインおよび軟部由来の肉腫であるヒトのMPNSTのセルラインを用いた実験を行った。ヒアルロン酸合成阻害薬の4-Methylumbelliferone(MU)はそれぞれのセルラインのマトリックス形成、細胞増殖を抑え、浸潤能も抑制した。これらの結果はヒアルロン酸合成阻害によるマトリックス抑制自体に抗腫瘍効果があることを示している。また、一方、In vitroとマウス肺癌骨転移のin vivoモデルを用い、MUがヒアルロン酸合成を抑制することにより、in vitroや骨転移モデルにおいてゾレドロン酸の腫瘍成長抑制を補助することを明らかにした(Futamura, Urakawa et al, Clin Exp Metastasis 2013)。 これらの成果は、MUなどによるマトリックス阻害が、放射線、抗がん剤、分子標的薬などの増感薬となる可能性を示唆するものであった。今後は、特に分子標的薬とヒアルロン酸との腫瘍抑制効果に焦点をあて、in vitroやマウス・ラットによる動物実験を進める。分子標的薬使用による細胞内シグナルの変化における細胞外マトリックスの影響についても解明を行う。具体的には分子標的薬に骨軟部肉腫の細胞外マトリックス・細胞膜上受容体・細胞内シグナル伝達のネットワークに影響する薬物(4-MU、ヒアルロン酸オリゴ糖など)を加えた場合の細胞内のシグナル変化についてmRNAや蛋白レベルでの解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨軟部肉腫の細胞外マトリックス・細胞膜上受容体・細胞内シグナル伝達のネットワークを明らかにするために、ラット軟骨肉腫やヒトの軟部肉腫のセルラインを用いた実験を行っている。Vitroの実験においてヒアルロン酸合成阻害薬の4-MUはラット軟骨肉腫株の腫瘍増殖を抑え、運動能、浸潤能を抑制した。同様の実験結果がMPNSTの細胞株でもみられた。MPNSTの結果についてはアメリカ整形外科学会(Ikuta, Urakawa et al, AAOS)で発表を行った。In vitroとマウス肺癌骨転移のin vivoモデルを用い、MUがヒアルロン酸合成を抑制することにより、in vitroや骨転移モデルにおいてゾレドロン酸の腫瘍成長抑制を補助すること明らかにした(Futamura, Urakawa et al, Clin Exp Metastasis 2013)。他のセルラインについても2013年度に、real time PCRの分析を行い、その結果を基にWestern blotを行うとともに学会および論文発表する予定であったが、real time PCRの増幅がうまくいかずやや実験が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの、基礎実験の結果を踏まえて、骨軟部肉腫の細胞外マトリックス・細胞膜上受容体・細胞内シグナル伝達をターゲットとした抗がん剤感受性の新規増感法を確立するために、分子標的薬の実験を継続する。特にマウス・ラットに使用する濃度とヒトに使用する濃度で整合性がとれるよう実験を進め分子標的薬とヒアルロン酸との腫瘍抑制効果に焦点をあて、in vitroやマウス・ラットによる動物実験を進める。 骨軟部肉腫の細胞外マトリックス・細胞膜上受容体・細胞内シグナル伝達のネットワークに影響する薬物(4-MU、ヒアルロン酸オリゴ糖など)による、分子標的薬による細胞内のシグナル変化への役割を解明するためにvitroでの実験を行う。細胞内のシグナル変化をmRNAや蛋白レベルでの解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各セルラインについて2013年度に、real time PCRの分析を行い、その結果を基にWestern blotを行うとともに学会および論文発表する予定であったが、いくつかのセルラインでreal time PCRの増幅がうまくいかず実験が遅れている。 今後の使用計画として、1)マウスまたはラットの腫瘍移植モデルを用い、細胞外マトリックス・細胞膜上受容体・細胞内シグナル伝達のネットワークに影響する薬物(4-MU、ヒアルロン酸オリゴ糖など)により分子標的薬により増感作用が見られるかを解析するため、薬剤の費用、免疫染色の抗体等購入費用に研究費を使用する。2) vitroでの分子標的薬の細胞内シグナル変化をmRNAレベルで解析するためプライマーおよびreal time PCRの試薬およびWestern blotのための抗体および試薬に対して研究費を使用する。3)研究結果の発表に関連する学会および論文校正費用、また研究に関連する書籍購入費用に研究費を使用する。
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