2012 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経系でのADAMTS-13の機能解明および脊髄損傷治療への応用
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24791536
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田内 亮吏 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50584744)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ADAMTS / プロテオグリカン / 脊髄損傷 / Von Willebrand factor / 酵素持続投与 / 運動機能回復 / 急性期治療 |
Research Abstract |
ADAMTS-13はa disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motif(ADAMTS) family(ADAMTS-1~20)のうちの一つで止血因子であるvon Willebrand factor (vWF)の分解作用をもつとされる。そこで、同酵素の発現と脊髄損傷における動向を以下の順の実験系により確認を行った。 ラット脳よりprimary cultureにてneuronおよびglial cells(Astrocyte and Microglia)を培養し、それらをRT-PCRによりADAMTS-13 mRNA発現をみる。さらに、β-tubulin,GFAP,CD11b,ADAMTS-13 antibodyによるimmunocytochemistryを行い、発現を染色にて確認した。RT-PCRによりneuronにはADAMTS-13は発現を見なかったが、AstrocyteおよびMicrogliaにて発現が見られた。β-tubulin,GFAP,CD11b,ADAMTS-13 antibodyを用いて、免疫染色を行い、同様にAstrocyteおよびMicrogliaに同酵素の発現を確認した。 IH-impactorを使用し、200kdynの強さでラット脊髄圧挫損傷モデルを作製し、その脊髄を採取してADAMTS-13の発現に関して、real-time PCRによりmRNAの発現の増減を、Western blotting法にてタンパクレベルでの発現を確認した。次に採取した脊髄を、蛍光ペプチドアッセイを用いて酵素活性の増減を確認した。Real-time PCRにおいて、ADAMTS-13の発現は、control群に比較して約7倍に増加しており、蛍光ペプチドアッセイにおいては、約2倍の蛋白の増加を示していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ADAMTS-13KOマウスの入手が未であることと、トレーサーの実験手法の確立に時間を要しているため、③~⑤の実験が遅れている段階にある。 しかし、同酵素における脊髄損傷後の脊髄での同行に関する上記の知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ADAMTS-13 KOマウスを用いた脊髄損傷モデルに関する検討:ADAMTS-13 KOマウスを用いて、100kdynの強さでラットと同様の方法(上記)で作成する。Wild-typeマウスを比較対象にして、損傷後の2次的炎症反応に関して免疫組織学的検討および後肢運動機能の評価を行い、ADAMTS-13の損傷脊髄中の役割を解明する。 2)ラット脊髄損傷治療モデルにADAMTS-13投与を行う脊髄損傷に対する治療介入に関する検討:ラット脊髄損傷モデルを作成し、ADAMTS-13を真空ポンプに充填、これを損傷脊髄周囲のくも膜下に投与し、その効果を検討する脊髄損傷モデルの還流固定後凍結切片を作成し、免疫染色を行う。その後蛍光画像解析システムMetaMorph Imaging System でプロテオグリカンの発現、グリア細胞の集積、新生軸索数やscar面積を解析する。治療群での軸索伸長促進の有無など、組織学的にも評価を行う。治療効果に対しては、投与群と生食群を比較する。 3)トレーサーを用いた軸索再生の評価:脊髄損傷後6週間で、麻酔下に脳へ10%BDA(Invitrogen社)を左右3.5μlずつ注入する。その2週間後sacrificeし、前述の蛍光画像解析システムにて新生軸索のFiber countや軸索再生、sproutingの形態などを解析する。 4)ADAMTS-13投与による安全性の評価;アロディニアに対する影響:脊髄損傷を起こしたラットに対して薬物を投与する場合に、そのラットにおいてアロディニア(異痛症)が生じていないかは安全性の面で厳しく評価する必要がある。Touch testとTail flick testを用いて、ADAMTS-13投与後にアロディニアが生じていないかを評価して、臨床応用可能かどうかの安全性を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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