2013 Fiscal Year Research-status Report
骨端部薬剤持続投与法による新たな長管骨長径成長制御法の開発
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24791549
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
江西 哲也 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (20467806)
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Keywords | 軟骨 |
Research Abstract |
我々のグループの研究の最終目的は、様々な薬剤を骨端部に持続注入する事により、骨切りや創外固定などを用いた手術を行わずに小児の長管骨を延長および短縮する方法を確立し、臨床応用することにある。 具体的な本研究の目的は、まず骨の長軸成長を促進する薬剤と抑制する薬剤について、それぞれの候補薬剤の中から最も効果の強い薬剤を動物実験にて同定することである。その後、その薬剤による長管骨の長軸成長への効果や、成長軟骨板細胞への影響を詳細に検証する。 4週齢の日本白色家兎の左脛骨近位骨端部骨髄腔内に、様々な薬剤を投与する。対照として右側には同様の手技を用いて生理食塩水を注入する。2週間投与群、4週間投与群に分けて投与期間による効果も比較検討する。従来の浸透圧ポンプでは薬剤の失活が問題点として挙げられ、この問題点を解決し、さらに、薬剤の効果を最大限にするために動物に埋め込んだ後に薬剤を補充可能なマイクロポンプを用いた。 投与薬剤として、成長促進としてはIGF-Iを、成長抑制としてはIGF-I receptor antagonistを用いた。IGF-I receptor antagonist にて興味深い変化が見られたのでその効果について詳しく検討を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4週齢の白色家兎の左脛骨近位部l骨端部骨髄腔内に、IGF-I receptor antagonist を3週間持続投与した。対側にはcontrolとして生理食塩水を3週間持続投与した。3週間の投与により、脛骨の長軸成長は抑制された。 薬剤投与の効果を軟X線画像、CT画像、組織像、骨形態計測などで詳細に検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
<骨形態計測> 骨髄腔内への薬剤投与の効果を検討するにあたって、骨形態計測による評価が不可欠となったため、骨形態計測を高価であるがすすめる。 <薬剤投与後の成長軟骨板の軟骨細胞の小胞体ストレス応答> ・ タンパク質合成工場である小胞体は、様々な要因で容易にその内部環境が影響を受け、タンパク質の折り畳みが障害されることを小胞体ストレスといい、細胞は小胞体ストレスに対して小胞体ストレス応答と呼ばれる機構を持ち、生体機能に重要な働きをしている。 ・ 細胞外基質を盛んに産生する成長軟骨板の軟骨細胞は発達した小胞体を持つことから、小胞体ストレス応答が軟骨細胞の機能発現に重要な働きをしていると考えられている。我々のグループでは、様々な成長障害をきたす疾患において小胞体ストレス応答に異常をきたしていることに着目し研究を進めている。本研究でも薬剤投与後の軟骨細胞と小胞体ストレス応答について検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
<骨形態計測> 骨髄腔内への薬剤投与の効果を検討するにあたって、骨形態計測による評価が不可欠となったため、骨形態計測を高価であるがすすめる。骨形態計測を次年度に統括して実行する事にしたため、予算を次年度に繰り越す必要が生じた。 <骨形態計測>3週間の持続投与後の骨髄腔内の変化について、骨形態計測を用いて検討する。 <小胞体ストレス応答>先端医療研究資源技術支援センターの器具を用いエポン樹脂包埋後超薄切片を作成し、電子染色後、電子顕微鏡 を用いて、薬剤投与後の軟骨細胞の小胞体を観察する。定量的RT-PCR で、以下の小胞体ストレス応答の実行因子の発現誘導を測定する。分子シャペロンBiP、 小胞体関連分解因子Derlin、アポトーシス因子CHOP等。また、小胞体を観察するため電子顕微鏡用のダイアモンドナイフを購入する。 また、学会発表のために持ち運び可能なノートパソコンを新規購入する。
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