2012 Fiscal Year Annual Research Report
骨系統疾患由来の変異型受容体の解析に基づくBMPシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
24791559
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
大手 聡 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (00547979)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 骨形成 / 異所性骨化 / 難治性疾患 / 受容体 / 細胞内シグナル |
Research Abstract |
骨形成因子(Bone morphogenetic protein ; BMP)は生理的骨形成において重要な役割を果たすサイトカインであり、そのシグナル伝達異常は様々な疾患の原因となる。本研究では筋組織内に異所性骨が誘導される遺伝性難病である進行性骨化性線維異形成症(Fibrodysplasia Ossificans Progressiva ; FOP)から見いだされた変異I型B柳受容体(ALK2)の活性化機序の解析を通してBMPの骨形成作用に重要なシグナル伝達機構の解明を進めた。ALK2を含む1型BMP受容体はII型BMP受容体によって活性化を受ける。そこで、FOPから見いだされたALK2変異体をII型BMP受容体とともに細胞内に発現させると変異ALK2は野生型と比べて高度にリン酸化を受けることが確認され、下流の転写因子Smadのリン酸化や骨芽細胞分化マーカーの発現を誘導した。次に乱K2のリン酸化部位の特定を進めた結果、203番目のスレオニン(Thr203)がII型BMP受容体によってリン酸化を受ける可能性を見いだした。そこで、Thr203を変異させた乱K2の活性を確認したところ、II型BMP受容体によるBMPシグナルの亢進作用が消失した。 さらに、FOPから見いだされたALK2変異体もThr203を変異させることでその活性が消失することを見いだした。以上の結果、ALK2の活性化にはThr203のリン酸化が重要な役割を果たすことが示唆された。ALK2のThr203に相当するスレオニン残基は全てのI型BMP受容体に保存されていることから、ファミリーに共通のシグナル活性化機構が存在するものと予想される。従って、これらスレオニンのリン酸化はFOPを始めとするBMP関連疾患の予防治療ターゲットとなる可能性が考えられる。
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