2012 Fiscal Year Research-status Report
整形外科学と細菌学の融合による新規骨折治癒促進法の開発
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24791560
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
内田 健太郎 北里大学, 医学部, 助教 (50547578)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コラーゲン結合性成長因子 / 骨折治癒促進 / コラーゲン |
Research Abstract |
高齢者の骨折治癒促進を目的として、コラーゲン結合性塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF-CBD)とInjectable コラーゲンパウダー(ICP)の併用による骨折後の骨形成促進法の有用性について検討した。in vitroにおけるコラーゲンとCB-bFGFの結合量をコラーゲン結合アッセイを用いて検討した。次に、骨折モデルを用いて骨形成促進能を検討した。高齢者を模擬した高齢マウス(10ヶ月齡)C57BL/6J マウスの左大腿骨骨幹部中央を骨折させた。髄内針で固定したのち、骨折部に0.58 nmoleコラーゲン結合性塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF-CBD)を結合させた5mg ICPを骨折部に投与した。PBSと混合したICPを投与した群(PBS群)、bFGF溶液と混合したICPを投与した群(bFGF群)をコントロールとした。骨折後2週、4週、6週において、X線とμCTによる形態学的検討と組織学的検討を行った。コラーゲン結合アッセイの結果、コラーゲンとCB-bFGFの結合が認められた。組織学的検討において、bFGF群、bFGF-CBD群では旺盛な軟骨形成が認められた。また、bFGF-CBD群では、時系列的に仮骨量、骨塩量の増大を認められ、骨折後4,6週での仮骨量、骨塩量はPBS群に比べ有意に高かった。bFGF-CBDを用いることでinjectableコラーゲンパウダーにbFGFを結合させることが可能であった。他の群に比べ、多くの仮骨形成が認められたことから、CB-bFGFとinjectableコラーゲンパウダーの併用は高齢者の骨折治癒促進法として有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であるコラーゲン結合性成長因子を用いた局所投与剤の開発に成功した。骨折治癒遅延を示す高週齡マウスに対する効果も実証できており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
十分な基質選択性と結合力を実現するアンカーを選出し、最も高い骨折治癒促進効果が得られる条件を検討する。これまでマトリックス・アンカーとして用いてきたColH CBD 単体とColH PKD-CBD 複合体の基質結合能を、GST 活性を指標とした不溶性コラーゲンへの結合実験とコラーゲン様ペプチドを用いた表面プラズモン共鳴(Biacore)法により定量する。他方、研究協力者松下治はこれまでにClostridium 属由来酵素から多数のPKD ドメインとCBD を同定している。対応する遺伝子領域をPCR 法により増幅後、GST 融合タンパク質として発現し、骨組織およびコラーゲン細粒に対する結合能を同様の方法で測定する。必要であれば、その他のドメインも同様に基質結合能を測定し、強い結合能または高い基質特異性を示す最小のアンカー候補を選出する。 高週齢マウス骨折モデルを作製後、最適マトリックス・アンカーを有する成長因子と骨組織あるいはコラーゲン細粒との組み合わせによる骨折治癒促進効果を検討する。評価には同様に軟X線による骨癒合評価、捻り強度試験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度と同様に物品費として動物(マウス)、免疫染色用試薬(抗体など)、融合タンパク精製用試薬、結合アッセイ用試薬、麻酔薬、X線フィルムを購入する。昨年度僅かに物品費の執行額が予算を上回った。そのため、次年度使用額は物品費として使用する予定である。その他、旅費に関しては当初の予定とおり動物飼育費、論文校正費、日本整形外科学会基礎学術集会における成果発表に使用する。
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[Journal Article] Stability and reference interval of serum phosphoglucomutase (PGM)2012
Author(s)
Ikeya H, Oka S, Yukino S, Yano K, Suzuki H, Nishinari M, Uchida K, Naruse K, Kurosaki Y, Aoyama N, Ogawa Z.
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Journal Title
J Ana Bio-Sc
Volume: 35
Pages: 336-341
Peer Reviewed
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