2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791564
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
須佐 美知郎 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90327560)
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Keywords | 肉腫 / 治療 |
Research Abstract |
これまで原発性悪性骨・軟部腫瘍において様々な分子の関与が示唆され、既に血管新生を阻害するマルチキナーゼ阻害薬のパゾパ二ブが臨床現場では使用可能となった。また50種以上にも細分化されている肉腫の治療において発現分子による治療法のカスタム化が他の癌腫に遅れて報告されるようになってきている。Met, ERBB family, PDGFR, AKT, Notch, IGF等約30のキナーゼの関与が報告され、臨床試験が開始されたものも少なくないが、現在のところ、未だ既存の治療と比較して、有意に勝るものの報告はない。これは未知の分子や分子同士のcrosstalk等の存在が、十分な治療効果をあげられない一因としてあげられる。したがって複数のキナーゼ阻害剤の投与、段階的投与などによる治療成績の向上は可能であるものと考えられ、今後も新たな分子の発見が待たれる状況である。 本研究を遂行するには各肉腫が希少な疾患であることから、細胞株の樹立・入手が不可欠である。これまでundifferentiated pleomorphic sarcoma(UPS88)とmyxoid chondrosarcoma(#142)の樹立に成功し各種学会にて発表した。また代表的な骨肉腫、滑膜肉腫、ユーイング肉腫等の細胞株を入手し、すべての細胞株の薬剤耐性モデルを作成中である。この中で骨肉腫とユーイング肉腫の薬剤耐性株の作成は完結した。いずれの腫瘍細胞もヌードマウスへの移植が可能であり,数週間で肉眼的にも確認できる腫瘍塊を形成することが観察された。Lentiviral人キナーゼshRNA libraryを用いて、数種類の細胞株のスクリーニングをおこなった結果、有望な分子が同定されたため、現在切除検体にて作成したtissue microarrayを用いてキナーゼの発現の度合い、また予後との関連等につき解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初目標としていた約10種類の代表的な細胞株の樹立・入手にはいたっていない為、引き続き手術検体より採取した各種肉腫組織から細胞株樹立をおこなっている。また同時に各種細胞株の各種薬剤耐性モデルを作成中である。細胞株のvalidationの為、Comparative Genomic Hybridizationにてゲノムの解析を行っている。当初期間内に各種細胞株においてスクリーニングは完結するものと考えられたが、一部のもののみに限られており、現在、新たに同定された数種類のキナーゼに対してvalidationを施行中である。最終的にはin-vivo modelを用いた各種キナーゼの効果を検討することを目的としているが、前段階として、手術検体より作成したtissue-microarrayを用いて、各種キナーゼの肉腫における発現を確認中である。今後は順次各々のキナーゼに対し、validation及び機能解析を施行していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も新たな細胞株の樹立、スクリーニング、得られた結果のvalidatioin、機能解明をおこなっていく予定である。各種キナーゼshRNAにおいて5種のsequenceを用い、有意に細胞増殖を抑制するキナーゼにつき順次validationを施行していく。また切除検体より作成したtissue microarrayは化学療法施行の有無や生存率等の詳細なデータが存在するため、各々のキナーゼの各組織における発現から貴重なデータが得られるものと考える。機能解析はsiRNAを用いておこない、siRNA導入による抑制効果はウエスタンブロッティング法および蛍光免疫染色法を用いて確認する。これにより各種キナーゼ阻害に伴うシグナル伝達系への影響を上・下流に位置する各種蛋白質の発現を検討することで解明できると考える。また数種類のsiRNAを用いて、各種細胞株へのキナーゼ抑制効果に伴う細胞増殖能への影響をMTS試験により検討する。また細胞増殖抑制によるものなのか、apoptosisによるものなのかの判別の為、Tunel法を用いて検証する。siRNA、各種抗体が市販されていないものに関しては、受託でおこなわなければならない。肉腫モデルに関して、骨腫瘍細胞株はヌードマウスの骨へ、軟部腫瘍細胞株は皮下組織へそれぞれ移植し、各種キナーゼ阻害による腫瘍増殖・腫瘍転移能に対する影響を評価する。投与後は各臓器の組織切片を作成し、腫瘍組織及び各臓器への影響を解析し、また肉腫モデルの血液検査と連動させることにより、副作用の有無等を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
全体として、既存の施設・備品が主に活用され、研究経費の削減につながったと考える。 選択されたキナーゼ蛋白質が発生した骨軟部腫瘍組織で実際に発現しているか、引き続き解析を行う。これらの解析に際しては、試薬ならびに抗体などの購入が追加で必要となる可能性がある。各種shRNA、siRNA法を用いて解析対象の蛋白発現を低下させ、細胞増殖、細胞形態の変化、および細胞機能の変化を観察する。新たに同定された新規分子の機能解析において既存の抗体やsiRNAを用いるが、既存の抗体が入手不可能な際は作成に関して委託を予定している。
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Research Products
(2 results)