2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24791568
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
斎田 良知 順天堂大学, 医学部, 助教 (00534885)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 加齢 / 骨代謝 |
Research Abstract |
加齢と共に生体内に蓄積する酸化ストレスは、種々の臓器に退行性変化をもたらすが、骨組織に及ぼす影響は不明な点が多い。さらに細胞質内、ミトコンドリア内でそれぞれ酸素代謝、活性酸素制御システムが存在し、臓器によってそれぞれの役割、依存度が異なる。 我々は、最近の研究で骨組織での細胞質内における酸化ストレスの増加が骨量減少を来たす事及び、抗酸化剤の投与によりこの骨量減少をレスキュー出来る事を明らかにし報告した。しかし、ミトコンドリア内酸化ストレスと骨代謝制御との関係は不明であった。そこで、ミトコンドリアでの活性酸素処理を担うMn-SODを骨組織特異的に欠損させたマウスを作成し解析を行った。 まず初めに、このマウスにおいて骨組織特異的にMn-SODが欠損しているか否かを確認したところ、蛋白及び遺伝子レベルでの欠損が確認され、骨組織特異的Mn-SOD2欠損マウスの作成に成功した。次に、このマウスの骨形態計測を行ったところ、骨細胞での特異的Mn-SODの欠損は、骨量の低下と骨脆弱性を来たし、骨粗鬆症を発症する事が確認できた。また、このマウスでは骨形成の低下と骨吸収の亢進を認めた。さらに詳細な解析を現在行っている。この成果をH25年国際骨代謝学会・アメリカ骨代謝学会・日本骨代謝学会・日本整形外科学会などにおいて発表する予定である。 また、廃用性骨萎縮の動物実験モデルを用いた解析から、廃用により骨での酸化ストレスが増加し骨量減少をもたらすことを明らかにし、さらに、抗酸化剤の投与がこの廃用性骨萎縮を予防することを明らかにした。この成果は、昨年アメリカ骨代謝学会にて報告し、現在論文投稿中である。 骨組織の酸化ストレスによる骨量制御機構を解明し、加齢に伴う骨量減少の予防・治療に貢献したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の如く、これまで不明であったミトコンドリア酸化ストレスの骨代謝制御機構への関与を、遺伝子改変動物を作成し解析している。 野生型マウスと比較し、骨細胞特異的Mn-SOD2欠損マウスでは、骨のリモデリング障害が生じ早期に骨粗鬆症を呈する。 このことにより、酸化ストレスが骨量調節において重要な役割をなしている事が明らかにされつつある。 また、廃用性骨萎縮においても酸化ストレスが重要な役割をなし、廃用性骨萎縮に対する抗酸化剤治療の可能性も示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
骨組織特異的Mn-SOD2欠損マウスの詳細な骨形態計測を行い、ミトコンドリア酸化ストレスの増加が骨組織に及ぼす影響の詳細を明らかにする。 酸化ストレス増加に伴う骨量減少の細胞レベルでのメカニズムを明らかにするために、分子細胞生物学的手法を用いて、骨芽細胞・骨細胞特異的にMn-SOD2の発現を抑制若しくは亢進させた状態での各種遺伝子発現やシグナルカスケードの解析、レポーターアッセイなどを行う。 さらに、上述の骨細胞特異的Mn-SOD2欠損マウスに加えて、より分化段階が幼弱な骨芽細胞でのMn-SOD2発現を欠損させた骨芽細胞特異的Mn-SOD2欠損マウスを作成し、このマウスにおいても同様に骨形態計測を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は、骨組織特異的Mn-SOD欠損マウスを作成し、尚且つ加齢による変化を解析するために、4~5種類の遺伝子改変マウスの交配や維持が必要である。そのため、遺伝子組換えマウスの大量繁殖・大量飼育が必要であり、多くのマウス飼育費を必要とする。さらに遺伝子組換えマウスは、すべて尾から抽出したDNAのGenotying PCRにより遺伝子型を決定しており、多くの分子生物学試薬が必要となる。 成果の発表や情報収集のために各種学会への参加を予定しており年数回の学会参加への旅費が必要となる。
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Research Products
(5 results)