2013 Fiscal Year Research-status Report
軟骨細胞分化におけるヘパラン脱硫酸酵素の役割と変形性関節症への治療応用
Project/Area Number |
24791571
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
大槻 周平 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20589840)
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Keywords | 変形性関節症 / ヘパラン硫酸脱硫酸酵素 / MMP-13 |
Research Abstract |
本研究では、マウスOAモデルにおけるSulf-1の軟骨変性抑制の可能性を検討している。 【方法】8週齢野生型マウス (C57BL/6) の右膝に処置を行った(n=60)。内側半月脛骨靭帯を切離したOAモデル (OA群) と、関節包のみ切開したコントロール群 (C群) を作成した。PBS 10μl、もしくは1ng、10ng、100ngのSulf-1を含んだPBS 10μlを術後に計4回、関節内に投与した。初回投与は処置当日に行い、その他の3回は1週ごとに投与した。手術から4週間後に屠殺し、組織学的な検討を行った。軟骨変性の評価は、Safranin-O 染色を用いたMankin scoreでおこなった。また、免疫染色を行い、陽性細胞率を算出することで、Sulf-1関節内投与の作用機序を検討した。 【結果】C群におけるMankin scoreは、各注射間で有意差はなかった。一方、OA群ではPBS投与でMankin score が7.1であったのに対し、Sulf-1の投与により4.3 (1ng)、4.4 (10ng)、4.1 (100ng)とSulf-1による軟骨変性抑制効果がみられた。しかしながら、軟骨抑制効果における明らかなSulf濃度依存性はみられなかった。STRO-1、Ki67やSOX9の発現はS群、D群ともにSulf-1の投与による変化はみられなかった。OA群においてFGF2とMMP-13 の発現はSulf-1 の投与により、有意に抑制されていた。 【まとめ】Sulf-1の投与濃度や軟骨細胞に対する作用などの更なる検討を要するが、Sulf-1関節内投与は軟骨変性抑制効果を示しており、新規OA抑制薬として期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験は順調に行われているが、western blottingなどin vitroの研究をすすめていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroの研究を進め、Sulf-1の関節変性抑制効果を細胞レベルで検討し、論文投稿予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスへのSUlf関節内注射の実験は終了し、Sulf関節変性抑制効果が得られた。 一方そのメカニズムを探るべく、軟骨分化におけるSulf発現変化を並行しているが、思うような結果が出ていなかった。また、蛋白レベルの研究でwestern blottingを行っているがMMP-13の発現の同定に難渋しており、思うようにすすんでいない。 western blottingは引き続き行っている。FGF/Erkのcell signalingを焦点にMMP-13の発現を見ていたが、それと同時にIL-1/p38 MAPK pathwayも並行して確認していく。 MSC使用したpellet作成に難渋している。MSCを購入して行っていくと同時に、マウス軟骨細胞永久株(ATDC5)を使用して軟骨分化を誘導した時のSulfの発現変化をrealtime PCRで検討している。それらの結果から、Sulfの軟骨変性におけるメカニズムは同定できると考えている。
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