2012 Fiscal Year Research-status Report
骨・靭帯付着部における超微形態・機能解剖学的構造とその破綻後の解明
Project/Area Number |
24791573
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
金澤 知之進 久留米大学, 医学部, 助教 (50529518)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | FIB/SEM tomography / 骨・靭帯付着部 / 腱骨付着部 / 3次元再構築像 / 3次元構造解析 / 硬組織 / 軟骨細胞 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
初年度(平成24年度)は、当初の研究実施計画に沿い、骨・靭帯付着部を次世代走査型電子顕微鏡(FIB/SEM tomography)に導入する為、硬組織における適正条件の設定と画像処理法の確立に重点をおいて実施した。 まず、ラット各関節の骨・靭帯付着部を個別にFIB/SEM tomographyを用いて撮影し、各関節に存在する骨・靭帯付着部の、どの部分が評価により適切なのか検証を行った。結果、肩関節の腱骨付着部はFIB/SEM tomographyによる、解像度の高い連続切削画像を取得することが比較的容易であったが、膝関節に存在する骨・靭帯付着部は靭帯自体が細いこともあり、非常に連続切削画像を取得することが困難であった。そこで、まずは肩関節に存在する棘上筋腱付着部の超微形態構造解析をおこなうこととした。結果、従来の光顕レベルでは、軟骨を介した4層構造を呈するとしか言われなかった正常付着部であるが、FIB/SEM tomographyによる高解像度連続切削画像を元にした3次元構造解析を行う事により初めて、骨と腱の間に存在する細胞は、骨側から腱側にかけて非常にスムーズな細胞形態移行をも呈していることが明らかとなった。恐らくこの方法以外では明らかにすることの出来なかったこの所見は、力学的にも過酷な環境にさらされている正常付着部の強度を支える、重要な解剖学的構造であると考えられる。 本結果は、2012年10月日本肩関節学会、2013年3月日本解剖学会総会、4月国際肩肘関節学会(ICSES)にて発表、報告し、現在論文執筆中である。 また、現在は整形外科領域の日常診療において頻繁に行われている、腱板縫合術の腱骨間の修復過程を組織学的に解明する為、ラットの腱板縫合モデルを作製し、その腱骨間修復過程をFIB/SEM tomographyを用いて、正常付着部との3次元組織構造の相違を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りではないが、計画当初問題と思われていた、硬組織における適正条件の設定と画像処理法の確立に関し、依然としていくつかの問題はあるものの、克服できつつある。 また、現在出ている結果に対しては、成果発表も行い、論文執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている、棘上筋腱正常付着部と、腱板縫合後腱骨間の組織修復過程の組織学的相違点を、FIB/SEM tomographyを用いて、3次元的超微構造の観点から検証していく。 また、当初の実験計画にもあるように、正常の骨・靭帯付着部は生後1ヶ月程で完成されることから、出生後から1ヶ月までのラットを用いて、時系列にFIB/SEM tomographyを行い、3次元的構造の観点から正常な骨・靭帯付着部が形成されるまでの形成過程を検証する予定である。 最終的には、様々な動物実験モデルに対し、FIB/SEM tomographyによる3次元構造解析を用いる事が、硬組織領域における形態的な3次元組織構築を評価し得る、1つのツールとして確立されることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験動物として用いるラット、妊娠ラットの購入と維持費、FIB/SEM tomography使用時の消耗品購入の為の経費が基本的に必要となる。 今後は光学顕微鏡との比較も必要になってくることが予想される為、免疫染色等のための抗体等の試薬の購入、また多くの検体の画像処理も行っていくことから、FIB/SEM tomographyによって取得した連続切削画像を3次元再構築する為のワークステーションの購入も必要となる。 初年度と同じように、結果は随時、学会発表/投稿論文の形で公表していく。その為、学会発表出張時、論文投稿に要するの諸経費も必要となる。
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Research Products
(2 results)